米国での施行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 01:08 UTC 版)
米国連邦準備制度理事会は2011年12月に、バーゼルIII規制を実質的にすべて施行に移すと発表した。その要旨は下記の通りであり、銀行だけでなく、500億米ドルを超える資産を持つすべての金融機関にも適用されることが明らかとなった。 年次資本計画(annual capital plans)を含むリスクベースの自己資本・レバレッジ規制、ストレステストの実施、期待通りのシナリオとストレス下のシナリオの双方において5%以上の普通株式等リスクベースTier 1自己資本比率の維持(シナリオ分析(英語版)を参照)などの自己資本比率規制。リスクベース資本のサーチャージ(risk-based capital surcharge)。 市場流動性については、当初、流動性ストレステストや内部的な定量的制限の設定を必要とする2010年3月に発行された米国独自の政府機関間流動性リスク管理ガイダンスに基づいていたが、後に完全なバーゼルIII体制に移行。以下を参照。 連邦準備制度理事会は、3つの経済・金融市場シナリオを使用し、毎年テストを実施することとなる。金融機関は、まずありえない事象、特に経営陣が不可能と考えている事象を反映した少なくとも5つのシナリオを使用することが推奨されるが、極端なシナリオについてはまだ基準が適用されていない。 公表されるのは、金融機関固有の情報を含むFRBの公式シナリオ3つについての結果の要約のみであるが、毎年1回以上、金融機関内部でストレステストを実施し、その要約を公表しなければならない。 単一取引先に対する大口信用供与規制(Single-counterparty credit limits)は、対象となる金融機関の単一取引先に対する信用エクスポージャーを、その会社の規制上の自己資本に対する一定割合までに制限するものである。最大手金融機関間の信用エクスポージャーについては、より厳しい規制が課せられる。 財務上の弱点が早期に対処されるようにするための「早期改善措置(early remediation requirements)」。 自己資本の水準、ストレステストの結果、リスク管理の弱点など、場合によっては将来を見越した調整を加えた、1つ以上の是正トリガーが2012年にFRBから提案された。「必要な措置は状況の深刻さに応じて異なるが、成長、資本分配、役員報酬、さらに資本調達や資産売却等の各制限が考えられる。」 2020年4月、 COVID-19パンデミックへの対応として、FRBは、2021年3月31まで(連結資産が2,500億ドルを超える金融機関に適用される)補完的レバレッジ比率を3%から2%へ一時的に引き下げることを発表した。2021年3月19日に、この1年にわたる緊急緩和措置は予定通り期限切れを迎えると発表された。 2014年1月時点で、各比率規制と計算方法は違うものの、米国はバーゼルIII規則の多くを順調に施行に移している。
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