米国での成功
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/18 03:44 UTC 版)
A300のガス圧作動機構は管状弾倉の先端にガスピストンが装着される構造上、管状弾倉を延長すると必ず銃身の交換が必要となる為、最大装填数の増加は容易ではなく、米国市場で需要が大きい銃器による自己防衛(英語版)の用途では必ずしも適しているとは言えない。 しかし、A300は類似した構造を持つ同時期の競合品であったS&W M1000やブローニング・B-2000とは異なり、米国でも狩猟銃として広く受け入れられた銃となった。米国人の銃器研究者であるランディ・ウェイクマンは、その理由としてA300の汚損に対する強さを挙げている。 ベレッタA300は管状弾倉の先端にガスピストンが取り付けられているが、S&W M1000やB-2000のように管状弾倉自体をシリンダーとはしておらず、銃身に溶接されたバレルリング側をシリンダーとしており、ガスピストンは後退の都度バレルリングから露出してピストン全周から発射ガスを放出する為、先台(英語版)内は非常に汚れやすい反面、S&W M1000やB-2000のようにガスピストンやシリンダー内の頻繁な清掃を必要とせず、仮に行う場合でも管清掃用のブラシで擦るのみで簡単に作業が完了した。 また、S&W M1000やB-2000のような管状弾倉をシリンダーとする構造の銃は、しばしばガスピストンを組み付ける向きを間違えて作動不良を起こす事例が発生したが、A300のガスピストンは片側に鍔が付けられていて逆に組む事自体が不可能な構造となっており、実際に広告でも「シンプルでフールプルーフな構造であり、(レミントンM1100のような)Oリングの不良は無く、(S&W M1000やB-2000のように)複雑なフィールドストリップを伴う清掃作業も必要としない」事を売りにしていた程であった。 A300のガス圧調整機構はS&W M1000やB-2000ほど完全なものではなく、装弾重量28グラム以下の軽装弾では作動不良を起こすリスクが依然として存在しており、強力な装弾を使用する程遊底は速い速度で往復する事になる(作動に伴う衝撃が大きくなる)が、米国人の射手はガス圧調整機構などの機構の緻密さよりも、レミントンM1100などのように手荒な取扱いや過酷な射撃環境に堪える頑丈さと、手入れを行わない不精な持ち主であっても作動不良を起こしにくい汚損に対する耐性の方が重視される傾向があり、A300はこうした米国内の事情に合致した構造であった為に、S&W M1000やB-2000のような早期の製造中止の憂き目を免れ、20年余りに渡り販売されるロングセラーとなったという。
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