米国での出版と評判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 09:36 UTC 版)
「ハリー・ポッターと賢者の石」の記事における「米国での出版と評判」の解説
英国から米国への変換例英国米国mum, mam mom sherbet lemon lemon drop motorbike motorcycle chips fries crisp chip jelly Jell-O jacket potato baked potato jumper sweater スカラスティック社は1997年4月に開催されたボローニャ国際児童図書展で105,000ドルという児童書としては異例の高額で米国での権利を買い取った。スカラスティック社のArthur Levineは、「philosopher」は読者にとって古臭すぎる響きと考え、(「Harry Potter and the School of Magic」という書名案も含めて)議論を重ねた結果、ローリングが提案した『Harry Potter and the Sorcerer's Stone』という書名で 1998年9月にアメリカ版が出版された。ローリングは、この変更を後悔しており当時もっと強い立場ならそれに反対したでしょう、と後に述べている。Philip Nelは、この変更によって錬金術との関連性が失われたことや、たとえば「crumpet」が「muffin」になるなど、翻訳によって他のいくつかの用語の意味が変化したことを指摘した。ローリングは『ハリー・ポッターと賢者の石』でイギリス英語の「mum」やシェーマス・フィネガンが話すアイルランド英語の「mam」を両方アメリカ英語の「mom」へ変更することを容認したものの、(その後の本ではこの変更を拒否し)『賢者の石』の後の版ではそれを覆した。しかしNelは、スカラスティック社の翻訳は当時のイギリス英語の書籍に行われた多くの翻訳よりもかなり繊細で、他のいくつかの変更は有益なコピーエディット(文章の編集)と見なせると考えていた。シリーズ初期のイギリス版はアメリカ版の数ヶ月前に発行されていたため、アメリカの読者の中にはオンラインショップから購入しイギリス英語版に慣れ親しむ人もいた。 当初、最も権威のある批評家たちは本書を無視し、カーカス・レビューやブックリストなどの出版業界や図書館の広報に委ねて、児童向け小説の娯楽志向の基準でしか本書を検討しなかった。しかし、より洞察力のある専門家の批評(ローリングが構築した世界の複雑さ、奥深さ、矛盾のなさを指摘した「Cooperative Children's Book Center Choices」によるものなど)は、大手新聞社の批評家の注目を集めた。『ボストン・グローブ』紙や、『ニューヨーク・タイムズ』紙のマイケル・ワイネリップ氏は、最後の章がこの本の最も弱い部分だと不満を述べたが、彼らをはじめアメリカのほとんどの批評家は、本書を熱烈に称賛した。その1年後、アメリカ版は「American Library Association Notable Book」、「Publishers Weekly 1998 Best Book of the Year」、「New York Public Library 1998 Best Book of the Year」に選ばれ、Parenting Magazineの「Book of the Year Award for 1998」、「School Library Journal Best Book of the Year」、「American Library Association Best Book for Young Adults」を受賞した。 1999年8月、『Harry Potter and the Sorcerer's Stone』は、『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラー小説リストで1位になり、自分たちの本が上位に入るのを見たいと熱望していた他の出版社からの圧力により、『ニューヨーク・タイムズ』紙がリストを子供向けと大人向けに分割するまで、1999年から2000年の大半でリストの上位に居続けた。パブリッシャーズ・ウィークリー誌が2001年12月に発表した児童小説の累積売上高についての報道では、『Harry Potter and the Sorcerer's Stone』はハードカバー(500万部以上)の中で19位、ペーパーバック(660万部以上)の中で7位である。 2008年5月、スカラスティック社は、最初のアメリカ版の発売10周年を機に、2008年10月1日に発売された、本書の10周年記念版の制作を発表した。本書の15周年に際して、スカラスティック社は、カズ・キブイシが描く新しいカバーアートと共に、2013年に『Sorcerer's Stone』を他の6作品と一緒に再発売した。
※この「米国での出版と評判」の解説は、「ハリー・ポッターと賢者の石」の解説の一部です。
「米国での出版と評判」を含む「ハリー・ポッターと賢者の石」の記事については、「ハリー・ポッターと賢者の石」の概要を参照ください。
- 米国での出版と評判のページへのリンク