簡易委託駅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 08:42 UTC 版)
一般的に委託駅と言うとこの形式を示すことが多い。業務委託駅と区別するため、「簡託(駅)」「簡委」と通称されることもある。乗車券類の発売(出札業務)が、鉄道会社から市町村・農協・駅前商店・個人などに委託された駅をいう。 基本的に、簡易委託駅の駅員は乗車券類の発売など、窓口の出札業務だけを行う。このため、集札及び改札などの業務は、その駅に停車する列車の乗務員が行う。ただし、小浜線の美浜駅や若狭高浜駅などのように、簡易委託駅でも駅で改札業務を行う駅も存在する。 形態的には駅舎内で乗車券類を発売する駅と、受託者の自宅や商店などで発売する駅がある。 駅舎内で委託している場合でも、委託駅員が直接客扱いを行うことはなく、窓口で発売される乗車券類も、原則として近距離乗車券や回数券等に限られるなど制約がある。ただし、JR北海道・JR東日本・JR西日本・JR九州管内においては、子会社や市町村などの公益団体、一般企業への委託を中心とした一部の簡易委託駅で委託駅員が集改札や精算を行っているケースもみられるので、一概には言えなくなっている。また、市町村・企業委託などの場合は全国の乗車券・指定券を販売できる契約を結ぶ例もある。簡易委託駅の委託駅員は市販の事務服などの私服や委託企業の制服で勤務しているケースが多い。 受託者側に発売所を置いている場合は、駅舎があっても駅業務には使用されず、外見上には無人駅と変わりがない。また、国鉄時代に簡易委託化される場合は官報または国鉄により公示されていた。公示は単に「無人駅化」であるが、この意味は国鉄職員を配置しないことであり、委託者についてはこの限りではない。 なお、営業時間が24時間でない駅もあるため、高山本線や太多線のように夜間にワンマン列車を運転する路線については、回収ボックスに入れる形式となっている。上記路線の他にも、JR東海管内の東海道本線・中央本線以外の路線では閉鎖時間は車掌が集札を行っている。 簡易委託駅の売上金は、決められた日に管理駅へ納入することになっている。切符販売委託料は各会社ごとに決められており、JR東日本の場合は1枚につき額面金額の5%(ただし定期券は1.8%)となっている。JR西日本では常備券の束が1冊11枚綴りになっており、10枚分の値段で管理駅から購入する。11枚売り上げの内、1枚分が受託者の収入となる。また、市町村委託でJR東海と同様にジェイアール西日本交通サービス等のJR西日本の関連会社や地元の旅行会社・タクシー会社に再委託する場合はマルス端末やPOS端末が設置されたり、指定券の販売をマルス端末または料金専用補充券で行う場合もある。また、市町村やNPO法人などへの委託の場合、券売機やICカードチャージ機の設置で切符販売を取りやめても、券売機やチャージ機の売り上げから受託者が販売手数料を受け取る形で簡易委託扱いを継続している例がある。
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