稲葉逮捕の影響と処分
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2002年7月31日午前、札幌市南区にある藻南公園内のトイレで、北海道警釧路方面本部の生活安全課長であるK警視(56)が首を吊って自殺した。遺書はなく、自殺の原因は不明。Kは1997年4月から2001年2月まで銃器対策課に在任し、稲葉の元上司だった。30日から道警本部で事情を聞かれており、この日も聴取が予定されていた。 稲葉の捜査協力者であったWは2002年8月29日6時35分頃、札幌拘置支所の個室で、靴下の片方を口の中に詰め、もう片方を首に巻いた状態で、布団の中で横たわっているところを、巡回中の刑務官に発見された。死因は窒息死で、遺書はなかったが、自殺と結論付けられた。Wは9月11日に札幌地裁で初公判が開かれる予定であり、弁護人は自殺する理由に心当たりがないと話している。9月7日、札幌地裁はWの公訴を棄却した。 稲葉と交際していた銃器対策課のH巡査部長(33)は、2002年8月17日夜、稲葉の親族男性(24)と同乗し、稲葉と付き合いのある暴力団関係者の男(37)に自らの車を運転させていたが、札幌市北区の国道交差点でタクシーと衝突。男らとの飲食直後であったことから、Hは札幌北署員に自分が運転したと虚偽の申告をした。 9月5日、道警はHを犯人隠匿容疑で、暴力団関係者を業務上過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)、犯人隠避ほう助容疑で、稲葉の親族男性を犯人隠匿ほう助容疑で、タクシー運転手を業務上過失傷害容疑でそれぞれ検察官に送致した。飲酒運転は立件が難しいと判断し、立件しなかった。 また道警は、Hを同日付で懲戒免職処分にした。理由は(1)交通事故の他に、(2)稲葉との親密な交際、(3)稲葉の自宅で5月に覚せい剤吸引用パイプ2本を発見しながら上司に報告しなかった、(4)暴力団関係者の飲酒運転を容認した、ことを挙げた。 略式起訴されたHは、2003年1月15日までに札幌簡易裁判所で、罰金20万円の略式命令を受けた。 2002年12月27日、道警と国家公安委員会は、一連の事件について調査が終了し、本部長ら13人の処分を発表した。また処分とあわせて再発防止策として、刑事部など組織犯罪捜査に携わる各部に専任監察官と適正捜査指導官を配置するなどの新たな人事を発令した。処分内容は以下。 稲葉の覚せい剤取締法違反などの事件U北海道警察本部長=警察庁長官訓戒 I函館西警察署長(元道本銃器対策課長)=本部長訓戒 M北海道警察本部生活安全特別捜査隊長=本部長訓戒 S静内警察署長(前道本生安特捜隊長)=本部長訓戒 O北海道警察生活安全課次席(元銃器対策課長補佐)=本部長訓戒 K北海道警察本部生活安全部長=本部長注意 O北海道警察本部生安特捜隊副隊長=本部長注意 M北海道警察本部少年サポートセンター所長(前道本生安特捜隊副隊長)=本部長注意 銃刀法事件に絡む偽証容疑などの事件N北海道警察本部外事課指導官(元道本銃器対策課長補佐)=減給100分の10、3カ月 C釧路警察署係長(元道本銃器対策課主任)=戒告 K札幌北警察署長(元道本銃器対策課長)=本部長訓戒 A北海道警察本部総務部参事官兼総務課長(元道本銃器対策課長)=本部長訓戒 W北海道警察本部薬物対策課長(元道本銃器対策課次席兼指導官)=本部長注意
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