きん‐はんげん【禁反言】
禁反言(きんはんげん)
”禁反言”とは、前言を翻してはならないことをいう。estoppelの訳である。特許権に関しては、出願経過において出願人のなした主張を、権利取得後の訴訟などにおいて翻してはならないことをいう(包袋禁反言、file-wrapper estoppel)。
たとえば、出願人が特許庁での手続において、出願した発明と従来技術との差異を明確にするため、手続補正によって特許請求の範囲を狭める補正を行い、その旨の意見を述べて特許権を取得していたとする。この場合、後に、侵害訴訟の場において、補正によって狭められた部分について、権利範囲であるとの主張を行うことはできない。当該部分については、均等論の主張は認められないと考えてよい。これが、包袋禁反言である。
禁反言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 01:55 UTC 版)
「フィールド対Google事件」の記事における「禁反言」の解説
法廷は以下を判示し原告が被告に対し著作権侵害を主張することは禁反言が適用されると認めた。 侵害者の行為に荷担した、何らかの手段で侵害を助長した、もしくは沈黙または不作為(inaction)による「出し渋り」(hold out)などのように「隠匿行為」をした(commit covert acts)場合、侵害請求の主張は禁反言の法理に抵触する。 被告の禁反言の抗弁を認めるには、被告は次の4つからなる要件を立証しなければならない。 原告は自身が主張する侵害行為を被告がしたと認知(know of)していた。及び、 原告は被告に原告の行為を信頼させるよう目論んでいた、または、そのように意図している被告が信じ込むに十分なよう行動した。及び、 被告は真実を知らなかった。及び、 被告は原告の行為を信頼したがゆえに不利益を被った(detrimental reliance, detrimentally rely on, 「不利益的信頼」)。 (これは一般に"Reliance-based estoppel", 「信頼を土台にした禁反言」と呼ばれるものである。) 原告は、インターネット上に自身の著作物を投稿すればCachedリンクを通じたアクセスを被告に自動的に許容すること、被告サービス利用者がCachedリンクをクリックすると被告の持つシステム・キャッシュから直ちに著作物であるウェブページの複製をダウンロードすること、及び被告のキャッシュに原告のウェブサイトを含めないようにする手段のいずれも知っていたことから第1の要件は満たされる。 原告は自身のウェブサイト向けのCachedリンクが提供されないようにと密かに望んでいたが沈黙を守っており、更にこの沈黙を被告が信頼するよう意図していた。原告は業界標準の規約を用いてCachedリンクを提供しないようにとの通知を被告に行うことが可能であった。にもかかわらず、原告が沈黙することでCachedリンクを掲示する許可を得たと被告が自動的に解釈するのを知りつつ原告は沈黙し続けることを選択した。原告の沈黙は、とりわけ原告が沈黙の結果を知っていることを踏まえれば、禁反言の第2の要件は満たされる。 被告は、実際には原告の著作物へのCachedリンクを被告に提供させることを原告は望んでいないとは気付いていなかった。 最後に、被告は原告の沈黙を信頼したことにより不利益を被った。仮に被告が原告の意向を知っていたならば、被告は原告のウェブページのCachedリンクを提供しなかっただろうとの点については争いがない。被告はウェブページへのCachedリンクを掲示しないようとの権利者の要求に応じている。原告の沈黙を被告が信頼したために被告の不利益に繋がった。原告が被告に自身の意向を伝えていたならば、そもそも両当事者は本件を完全に回避できたはずである。 法廷は禁反言を構成する4つの要件全てが両当事者の争いのない事実に基づき提示されたと認めたので、被告の禁反言の抗弁に関する略式判決申立を認定し、原告の交差申立は却下する。
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