目的と起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 08:26 UTC 版)
Colossus は、Lorenz SZ40/42(英語版) 暗号機によって暗号化されたドイツの通信メッセージを解読するために使われた。Colossusの仕事の一部はローレンツ暗号機の電気機械的機能を電子的にエミュレートすることである。ローレンツ暗号機でのメッセージの暗号化手順は、平文と一連の鍵ビットとを結合させ、5つに分割する。鍵ビット列は12個のピン歯車で生成する。このうち5個の歯車は(イギリス側で)Χ(chi)ホイールと呼ばれ、別の5個は Ψ(psi)ホイールと呼ばれた。残り2個は駆動用歯車である。Χホイールは暗号化された文字毎に規則正しく回転し、Ψホイールは駆動用歯車によって制御されて不規則に回転する。 ブレッチリー・パークの暗号解読士ビル・タット(英語版)は、そのマシンが生成する鍵ビット列が、統計的に見て、完全な乱数であれば満たされるはずの振舞からはずれた偏向を示す振舞を発見し、その偏向が暗号を解読してメッセージを読むのに使えると考えた。メッセージを読むためには、ふたつの仕事を実行する必要があった。第一の仕事は「歯車のパターン解読」つまり全ての歯車のピンのパターンを発見することである。それらのパターンはローレンツ暗号機を設定変更するまでの一定期間、複数の異なるメッセージの送信で使われていた。第二の仕事は、発見したピンのパターンに基づいて「歯車を設定する」ことである。各メッセージは歯車の異なる位置から暗号化を開始される。「歯車を設定する」とは、あるメッセージの歯車の開始位置を探すことである。当初、Colossus は「歯車の設定」に使われたが、後に「歯車のパターン解読」にも使えることがわかった。 Colossus は、ブレッチリー・パークのローレンツ暗号機に対する機械的解読手法を研究した Newmanry(数学者マックス・ニューマンが指揮する部門)が運用した。 Colossus は Heath Robinson と呼ばれる特殊用途の光学機械式比較器を開発するプロジェクトからの派生として開発された。Heath Robinson で問題となったのは、電気機械式リレーの遅さと2つの紙テープの同期をとる方法である。一方の紙テープは暗号化されたメッセージをさん孔されており、もう一方はローレンツ暗号機のホイールによって生成されたパターンを示している。これを一秒間に2000文字程度読むようにしたところ、テープがずれて計算が不安定になってしまった。このため英国中央郵便本局研究所のトミー・フラワーズを呼びよせ、Heath Robinson の比較機構の設計を調べさせた。フラワーズはこの機械に感心せず、自らが主導して紙テープの一方のデータを内部で生成する電子装置を設計した。フラワーズはその設計を1943年2月にマックス・ニューマンに提示したが、1000から2000本の熱イオン管(真空管)を使って計算するというアイデアは信用されず、Heath Robinson の台数を増やすことになった。しかしフラワーズは自身のアイデアに固執し、研究所の上司から開発資金を獲得した。
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