球節の異常
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/02 09:45 UTC 版)
球節炎(英語: inflammation of the fetlock) 球節を挫傷、捻挫、脱臼や骨折させたことで発生する炎症。化膿性炎症の波及、また球節への穿通創などでも発生しうる。局所の熱感、疼痛が顕著で、負重不全に基づく重度の跛行や、球節の腹屈が見られる。この炎症によって骨質瘤(オスレット)を生じる場合もある。処置には患部を冷やし、安静に保つ。副子により患部を固定することで治癒が促進される。化膿性の場合は排膿消毒が必要で、予後不良になることも多い。慢性に移行し跛行を呈する場合には、発疱刺激剤の塗布や焼烙を施す。 球節脱臼(英語: dislacation of the fetlock) 球節部の脱臼。疾走時の急旋回、障害飛越時の過度の過重や腱の急激な屈伸、滑走、蹉跌、転倒、および輪轢などで発生する。全脱臼では球節の変形と第一指関節の転移が認められるため視認が容易であるが、不完全脱臼の場合は側方脱臼が多く、捻挫と紛らわしい。常に重度の支柱跛行を呈する。小動物の場合は整復して固定すれば治癒するが、大動物の場合は整復が困難で、完治は期待できない。 球節軟腫(英語: fetlock gall) 球節直上部の内側・外側で、球節の滑液膜および嚢状靭帯の慢性漿液性炎症が原因となり、漿液が増量して軟腫を生じた状態。輓馬、特に高齢のものに多い。原因は持続的な過度の労働によるものと、装蹄の不具合によるものがある。中手骨と繋靭帯の間に鶏卵大の波動性腫瘤が形成され、肢を上げると消えるが、降ろすと再び出現する。熱痛はなく、運動機能にも影響しないので、治療の必要はない。 球節捻挫(英語: sprain of the fetlock) 球節の捻挫で、ウマに頻発する。ウマの蹉跌、滑走、転倒、急旋回や急停止、急激な速歩、障害飛越などが原因で、ほかにも肢勢の不良や装蹄の不具合によっても起きる。突然に重度の支柱跛行を示し、発病から12-24時間で第一指関節が腫脹・増温し、歩行時に関節の沈下不良を呈し、突球様肢勢となり、関節の屈伸検査でも疼痛を訴える、関節嚢や関節周囲の靭帯の断裂を伴うもの、関節内で出血しているものでは長期慢性の跛行を呈するようになる。治療には休養にあて、患部の冷却やプリースニッツ罨法を施す。慢性のものには、発疱刺激剤の塗布や焼烙を施す。 クモズレ ともずれとも呼ばれる。後肢の球節の下部にできる円形のむくれ傷のことで、馬場の砂などによって擦傷した外傷で、競走馬は後肢の踏み込みがいいため起こりやすい。予防するために、球節の後ろに「クモズレよけ」と呼ばれる革や布を当てる。 骨折 球節を構成する近位種子骨は前肢の骨でも最も骨折が多発する部位で、これに続く中手骨・手根骨が競走馬が命を落としやすい「三大骨折」として、競走馬診療所では有名である。
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