球審の構え方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 10:53 UTC 版)
インサイドプロテクターを使用する際は、以下詳説するスロットスタンス、ボックススタンス、シザーススタンス、ニースタンスの4つの構え方のいずれかを採用する。人それぞれ体型や身長が違うので、どの構えが見易いかは個人によって差があるが、いずれの構えも身体の中心は本塁の打者側の縁に位置するのが基本である。 アウトサイドプロテクターを使用する際は、両肩にかけた状態で身体の中心をホームプレート真ん中に合わせ、両足を開き自然体で構える。左右打者を問わず、また捕手が左右何れかに寄ろうと関係無く、アウトサイドでの球審は常にホームプレート真ん中で構える。次に投手がモーションを起こすと同時に両足を並行に肩幅より広めに開き、プロテクターのくぼみ部を下顎にぴったりとくっつけ、腰と膝を曲げてやや前傾姿勢で構える。この時、プロテクターはインジケーターを持った左手のみで支え右手は軽く左手に添える。また、構えた時にプロテクターをあまり前に突き出さず、心持ち少し前に出す程度にする。 アウトサイドプロテクターを用いた場合でも、インサイドプロクターを用いた場合でも、構えたらその位置から投球を目だけで追い、投球の方向へ顔や身体を動かしてはいけない。 スロットスタンス 身体の中心を本塁の打者側の縁に位置し、足の置き方は右打者の場合、左足のつま先を捕手のかかとと並行に置き投手方向へ向ける。右足は自分自身が楽な姿勢位置まで広げ(一般的には肩幅よりやや広く)、投手と正対して、やや前傾姿勢で構える。腕の位置は打者側の腕を曲げて腹付近に置き、反対側の腕は太ももの後部に置く。または両腕を両太ももの内側に置き、手は自然とぶら下げるか軽く握る。いずれの構えも左打者の場合、左右手足の位置が逆になる。久保田治がこの構えだった。現役審判員では、木内九二生や深谷篤、秋村謙宏らはこの構え方である。この構え方は、アマチュア野球で最も推奨されている構え方であり、かつ、日本のアマチュアでは球審はこの構え以外で務めることは原則として認められていない。 ボックススタンス 両足を平行に並べ、肩幅よりやや広めに並行に開き、つま先を投手へ向けて構える。構える位置と両腕の位置はスロットスタンスと同じ。橘髙淳や笠原昌春、敷田直人などはこの構えである。最近のプロ野球審判員で一番多い構え方となっている。 シザーススタンス 打者側の足はスロットスタンスと同じで、反対側の足を肩幅程度に開き、投手がモーションを起こすと同時に反対側の足を後ろへ伸ばす。腕は打者側の腕を曲げて打者側の膝に置くが、反対側の腕は引いた足に軽く添える。この構え方は、主にプロ野球審判員に多く見られる構え方で、有名なのは小林毅二である。井野修が2002年途中から2004年シーズンまで、友寄正人が1992年シーズン右打者の時のみと2004年シーズン左打者の時のみ、森健次郎が2006年シーズンまで、林忠良が2001年シーズン頃、この構え方でそれぞれ球審をしていた。2021年現在、岩下健吾、白井一行、吉本文弘、土山剛弘らがこの構えである。ただ、友寄正人が審判長となってから、このスタンスで構える審判員が大幅に減少している。石山智也と川口亘太、小林和公らは、友寄が審判長となってから、何れも構えをボックススタンスに変更した。 ニースタンス シザースタンスと変わらないが、打者側と反対側の足を地面に着け、構えに入る時は前傾姿勢で構える。平光清や村田康一などがこの構え方だった。現役審判員では橋本信治が2015年シーズンから2016年シーズンまでこのスタイルに酷似したスタンスで構えていた。 個性的な構え 上記のいずれにも当てはまらない個性的な構えをする審判員もいる。代表的なのは、セ・リーグでは井野修(2002年途中~2004年シーズンを除く)や谷博、パ・リーグでは林忠良や柿木園悟、小寺昌治など。井野は、ボックススタンスで構えるが、腰を地面スレスレまで下ろして構える。最近では、森健次郎が大きく股を開き、ボックススタンスともシザースタンスとも見えるような独特の構えで球審を務めている。また、杉永政信はシザースタンスで構えるが、立ち腰に近い姿勢で構えている。2018年シーズンまでシザースタンスで構えていた西本欣司は、かなり低い位置まで体を屈めて構えている。前述した橋本信治も、一時期ニーススタンスとシザースタンスを取り込んだような構え方で球審を務めていた。
※この「球審の構え方」の解説は、「審判員 (野球)」の解説の一部です。
「球審の構え方」を含む「審判員 (野球)」の記事については、「審判員 (野球)」の概要を参照ください。
- 球審の構え方のページへのリンク