現在の運行状態と将来の見込み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 04:38 UTC 版)
「サハリントンネル」の記事における「現在の運行状態と将来の見込み」の解説
1973年から、大陸側のソヴィエツカヤ・ガヴァニ近くのワニノと樺太のホルムスク(真岡町)を結ぶ鉄道連絡船が運航されている。 ソビエト連邦の崩壊後でも、政治家からこの計画の復活の声が何度も上がっているが、費用が利益を上回ると見込まれるなどさまざまな問題がある。しかし、2008年11月のロシア大統領ドミートリー・メドヴェージェフによる支援声明を含め、この路線に関して真剣な検討が行われているという兆候がある。この計画は2030年までに完成させることが提案されている。 新しい計画では、樺太側は樺太の鉄道網につながっているノグリキへ接続することが考えられている。かつての日本統治の名残である狭軌から、ロシア標準の広軌への改軌が進められている。 また、樺太の南端と日本の北海道の間を、約40 kmのトンネルまたは橋を建設する提案(宗谷トンネル)もあり、これにより日本とアジア大陸やヨーロッパを直接結ぶコンテナ輸送を実現しようというものがある。これによって、日本の鉄道を巻き込むことにより、本計画の弱点である費用対効果を補う狙いがあると見られている。最も、宗谷トンネルには日本が絡んだ別の課題がある(詳細は宗谷トンネルの項目参照) 2009年1月16日、運輸副大臣のアンドレイ・ネドセコフは宗谷トンネルについて現在検討中であると確認した。こうした計画では、樺太と大陸の間の連絡についてはトンネルが12.4 km、橋が6.6 kmと見積もられることから、トンネルではなく橋にすることが提案されている。ロシア政府から日本企業に対して提案要求が出されているところである。ロシアの鉄道事業、特にサハリントンネル(または橋)の建設コンソーシアムに日本企業を迎えるようという彼の決断は、将来に向けたロシアと日本の鉄道での協力につながると考えられている。 2013年6月3日にはロシア極東発展省が、樺太と大陸を結ぶ橋と鉄道の建設を2016年に着工する方針を明らかにした。この中でイシャエフ極東発展相は「確実な交通の連絡がないことでサハリン州の経済発展が困難だった。橋の建設で大陸から(樺太の)不凍港にアクセスできるようになる」と強調した。 しかし2018年にはロシア鉄道が建設費の見込みを5400億ルーブル(約7590億円)と示し、整備が必要な区間は最低でも536キロメートルに上るとした。そして運ぶべき貨物がなく、建設費の高さに見合わないとして、2020年にはロシアの大統領特別代表のセルゲイ・イワノフが断念を表明した。 ただし、その後も本計画は完全に破棄されたわけではなく、宗谷トンネル計画と合わせて議論が進められている模様であり、2021年10月には、ロシア政府の関係者と日本大使の上月豊久が宗谷トンネル計画についての交渉を行った記録がある。 最も、2022年に入るとロシアによるウクライナ侵攻によって日本政府も対露制裁を行い、ロシア側も対抗措置を取るなど外交関係が悪化している。
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