特徴のある書写
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 06:15 UTC 版)
「米国議会図書館本源氏物語」の記事における「特徴のある書写」の解説
本写本の最も特徴的な点として、和歌が第2句と第3句、第4句と第5句などが、割り注のように 2行書きとなっていて、一見散らし書きのように書かれているものがあることである。これは、「非常にめずらしい例であり、従来知られていない装飾的な書き方と思われる。」とされる。この書き方は『源氏物語』の全54巻にわたって、このような書式で和歌が書かれているのではなく、また同じ巻にこの書き方と1行から2行にわたる普通の書き方が混在しており、この散らし書きのような書き方は、54巻中以下の13巻の中の以下の数の和歌のみに限られている。なお、このような和歌の書き方がみられるのは源氏物語の写本では現在確認されている限りでは本写本のみであるが、現在イギリスにある源氏物語画帖の一部の和歌に同様の表現が見られる。またなぜこのような現象が生じたかについて、もともとは書写のときに頁の変わり目に和歌の終わりを合わせるための操作だったのではないかとする説がある。 第12帖 須磨 8首 第13帖 明石 8首 第14帖 澪標 8首 第20帖 朝顔 3首 第22帖 玉鬘 3首 第24帖 胡蝶 3首 第25帖 蛍 5首 第28帖 野分 3首 第29帖 行幸 1首 第44帖 竹河 6首 第46帖 椎本 4首 第51帖 浮舟 8首 第52帖 蜻蛉 2首 本写本の特徴としてその他に以下のような点が確認できる。1面あたりの書写行数が一定せず、変動の幅が大きいこと。1面あたりの書写行数が8行から12行書きと、書写行数にバラツキがあること。1面9行や1面10行で統一されている巻も多くある一方で、1面あたりの書写行数が一定していない巻も多い。古写本で巻の中で9行から10行書きになったり、9行から8行になったりしているような書写行数にむらがあるものは時たまあるものの、変動の幅はほとんどの場合1・2行程度である。この写本の場合、「帚木」では、8行・9行と、10行、「横笛」では10行・11行と12行というように変動の幅が大きい例はめずらしいとされる。 遊紙がない巻が多いこと。ほとんどの巻で、最終丁のオモテかウラに文字が書かれている。改装によって失っている訳でもない。何かの事情で、紙を節約する必要があったのではないか。少なくとも、人への献呈本ではなさそうである。 墨筆・朱筆による書入れや擦り消しによる訂正が数多くみられること。これらは全帖にわたって平均的に現れるのではなく一部の巻に偏って現れる。 薄雲巻巻末のただ一か所にのみ、聞書のような注釈書類からの転記と思われる注釈が記されている。
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