物理的忌避
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 16:25 UTC 版)
蚊の侵入を防ぎながら空気の通りを妨げない物として、窓に網戸、屋内で蚊帳がある。いずれも目が1mm程度の細かな網を蚊の侵入方向に張り巡らせて侵入を防ぐものであり、人間の寝所等の周りに吊るして防御するものが蚊帳、それを推し進めて窓に網を張り家全体への蚊の侵入を防ぐものが網戸である。この成り立ちからも推測できる通り、使用の歴史としては蚊帳の方がはるかに古く、古代から世界中で使用されていた。日本においても中国から伝来し、既に江戸時代には一般庶民の日用品となっていた。その後、昭和時代後期に入りガラス窓とそれを乗せるサッシが普及して気密性が大幅に向上し、蚊の侵入する隙間が窓以外なくなったことから窓での蚊の防御に意味が生まれ、網戸が誕生して急速に普及した。現代においては網戸は、ほぼ日本中の家で採用されていると思われるが、蚊帳は現代の日本ではあまり用いられていない。ただし日本以外の国々、とくに熱帯地域の諸国においては蚊帳は現在でも非常によく使用される。蚊帳の使用は熱帯地域における伝染病の感染を減少させる有効な手段とされ、特に2000年頃に5年間ほど効果が持続するピレスロイド系の殺虫剤を添加した蚊帳が開発されると、世界保健機関(WHO)や多くのNPOがこれを採用して無償配布や援助を行うようになった。 また蚊は風速1m以上の風が吹く環境下では飛行できない(横風を受けて飛ばされてしまう。ヒトに取り付く事も出来ない)ため、扇風機の風を当てる事でも防除はできる。 蚊の駆除を目的としたものには、紫外線で蚊を誘引し、通電した格子に触れさせ感電死させる電気捕虫機(電撃殺虫器)があり、同様に紫外線や二酸化炭素で誘引した蚊を風力で捕獲する機器も登場している。 侵入した蚊を駆除する方法としては、電気の流れるラケット状の器具「電気蠅叩き」が登場している。
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