物理演算エンジン
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 04:07 UTC 版)
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物理演算エンジン(ぶつりえんざんエンジン、Physics engine)とは、質量・速度・摩擦・風といった、古典力学的な法則をシミュレーションするコンピュータのソフトウェアである。多くの場合、ミドルウェアライブラリを指す。 略して物理演算、物理エンジン、Physicsとも言う。
概要
物理演算の基本となるのは衝突判定とダイナミックシミュレーション(動的シミュレーション。静止した一点の力のかかり方のみを見るのではなく、現実と同様に動く物体の動き全体をシミュレーションするもの)である。その他に、流体シミュレーション・剛体演算(リジットボディ)・軟体演算(ソフトボディ)、モーションコントロール(スクリプト言語によって物体の動作をコントロールする機能)、アセットツール(独自形式またはCOLLADAなどの汎用形式のオブジェクトやシーンを読み込んだり管理する機能)などがついたものも多い。
長年、学術的シミュレーションや3DCGアニメ製作の現場などの専門分野でのみ使われていたが、2000年代以降には高度な物理演算エンジンを搭載した家庭用ゲーム機やゲーム用グラフィックカードの登場により、ゲームを通じて一般にもなじみが深いものとなっている。物理エンジンを史上初めて搭載した家庭用ゲームは『Rocket: Robot on Wheels』(Nintendo 64、Ubisoft、1999年)。特に2000代後半のPS3/Xbox 360世代の初期のゲームは「HD」と「物理演算」がキーワードとなっており、ソニーは物理演算をゲーム性の基軸に据えた「リトルビッグプラネット」を2008年にリリースし、ヒットさせた。
また、物理演算を搭載した3DCGソフトウェアも、かつてはプロユーザーにしか手が出せなかったが、現在ではフリーのBlenderを初めとして一般人にも手が届く物がいくつも存在しているため、ゲームや映像を介して物理演算を実感するだけでなく自身で物理演算を利用した3DCGアニメーションを製作することも容易となっている。
Algodoo等の物理演算を活用した教育用ソフトウェアも存在する。
応用
物理演算エンジンの主要な応用例は、科学技術計算とエンターテイメント分野である。
科学技術計算
最初の汎用計算機、ENIACは非常に単純な物理計算、すなわち弾道計算のために使われた。そしてコンピュータの発達とともに航空機の設計などへ応用されていった。
1980年代ごろから、スーパーコンピュータが天気予報のために、大気や海流といった流体のシミュレーションのために使われるようになった。これらの分野は数値流体力学として知られている。
エンターテイメント
ゲームのようなエンターテイメント分野では、物理シミュレーションの正確さよりも速度、リアルタイム性が重要である場合が多い。そのため、正確さを犠牲にしても高速性を得られるような手法が取られる。PhysXのように、ハード/ソフトウェア両面から高速性を実現するアーキテクチャを採用するものもある。
物理演算エンジンの例
- ライブラリ
- アプリケーション
関連項目
物理モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/02/01 14:02 UTC 版)
この写像は、撃力回転子(英語版)として知られるシンプルな機械系の動きに対するポアンカレ切断面を表すものである。撃力回転子は、重力の影響を受けない棒で、その一端に位置する軸の周りを摩擦なしに回転し、もう一端は周期的に撃力を受けるものである。 標準写像は、撃力回転子の変数に対するストロボ射影が適用される切断面である。変数 θ n {\displaystyle \theta _{n}} および p n {\displaystyle p_{n}} はそれぞれ、n-回目の撃力の後の棒の角位置と角運動量を表す。定数 K は、回転子に対する撃力の強さを表すものである。 撃力回転子(英語版)は、粒子の力学や加速器科学(英語版)、プラズマ物理学、固体物理学の分野で研究されるシステムを模倣するものである。例えば、加速器はビームチューブ内で循環するとき、周期的な撃力を適用することによって粒子を加速させる。したがって、そのビームの構造は撃力回転子によって模倣される。一方この写像は、ハミルトン系カオスを表す保存系の非常にシンプルなモデルであるため、物理学および数学の基礎理論的な観点からも興味深いものとなっている。
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