はん‐い〔‐ヰ〕【版位】
読み方:はんい
⇒へんい(版位)
へん‐い〔‐ヰ〕【▽版位】
へん‐に〔‐ヰ〕【▽版位】
版位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/25 08:00 UTC 版)
朝政や朝儀を執りおこなうにあたっては、朝庭に「版位」(へんい)とよばれる一種の標識が設けられた。版位には、朝政のために朝庭に常置されていたものと、朝儀のたびごとに朝庭に臨時に設けられたものとの2種類があった。 朝庭に常置されていた版位とは、朝政の際、官司(官庁および官人組織)内での日常的な執務や官司相互の連絡などにあたって、朝堂内の朝座に着座している他の官人に対して報告したり、上司にあたる官の指示や命令を受けたりするさい、官人たちが立ち定まるべき位置を示すために設けられたものであった。平安宮(大内裏)の場合、朝堂は12堂あったが、『延喜式』(927年(延長5年)完成、967年(康保4年)施行)によれば、親王たちの朝座のある延休堂をのぞく他の11堂の前や後ろに、それぞれの官司ごとに「公事」「私事」と記された版位が1枚ずつ2枚1組で置かれることとなっていた。平城宮跡からは、朝庭からではなく「磚積官衙」(せんづみかんが)と呼ばれる遺構から出土した2点の黄褐色の磚(煉瓦)で、それぞれ上面に「公事」「私事」と刻された一辺の長さがおよそ24センチメートルから27センチメートル程度(推計)の正方形の面をもつ直方体の一部が出土している。これは朝堂院外の「曹司」と呼ばれる役所の版位と思われるが、橋本義則は『年中行事絵巻』(宮内庁所蔵)に描かれた版位も参照して、朝庭の版位もだいたい似たようなものではなかったかと推測している。 朝儀のために臨時に置かれた版位は、儀式に参列する官人たちの位階にもとづく序列を示すため、それに先だって一定の形式で朝庭に配置された標識である。『養老令』(757年(天平宝字元年)施行)の儀制令によれば、版位は皇太子以下すべて一辺約21センチメートルの方形平面に厚さ約15センチメートルの同一規格による直方体で、上面に品階や位階が漆で筆書されることとなっていた。このことより、もともとは厚手の木の板であったと考えられる。
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