燃料の成分の制限とチューンド・サイレンサーの影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/12/02 07:13 UTC 版)
「フリーフライト (模型航空)」の記事における「燃料の成分の制限とチューンド・サイレンサーの影響」の解説
第12回(1967)より、燃料はアルコールとオイルだけに制限され、ハイ・ニトロ燃料は禁止。ディーゼル燃料は制限されなかったので、しばらくはディーゼル・エンジンが有利になった。ディーゼル・エンジンは高速化によって今まで以上に出力を向上させ、燃料が制限されたグロー・エンジンもチューンド・サイレンサーの導入による出力向上があり、ともに上昇悪化はしなかった。 世界選手権はチェコのプラハで開催され、ハンス・ゼーリッヒ(独)が(900+240+300)秒で優勝した。 ゼーリッヒ機は、シート張りの翼面で、VISとオートラダーを装備、エンジンはスーパー・タイガー15にチューンド・サイレンサーを組み合わせて搭載。さらに、以降の定番となった「ゼーリッヒ多機能タイマー」で、舵面などを制御。 垂直尾翼は水平尾翼の後ろの最後尾に取り付けられ、滑空を重視し、平尾翼は小さめで、後ろモーメントアームは延長された。 68人の参加者のうち13人がフライオフに残った。 第13回(1969)はウインナア・ノイシュタットで開催。 今回から7ラウンド制になり、パーフェクト・タイム(3分×7回=1260秒)。チューンド・サイレンサー(パイプ)使用率は80%に達し、次回以降は禁止になった。 当時のエンジンは直径7インチ×ピッチ4インチのプロペラで21000~23000回転/分で、新登場したROSSI15は、25000回転/分。1950年代のディーゼルのプロペラは9×4が主流。 パーフェクト・タイム達成後に2回のフライオフをクリアして6分フライオフに至った選手は、ドイツのバウマンとリーケで、ともに前回のゼーリッヒに似たシート張り翼の機体。 優勝は(1260+240+300+240)秒でバウマン。リーケ機はT尾翼で、理論的には効率が高い設計。 第14回(1971)はスエーデン開催。 ロルフ・ハーゲル(スエーデン)が(1260+240+300+328)秒で優勝。ロッシエンジン付きの機体は、スパンが長く、翼端と水平尾翼は前縁が後退していて、パイロンが低く、エンジンは完全にカウルされ、現在のF1C機に通じる形で、垂直尾翼は3枚。 ノルディック・グライダーに近いイメージの平面形で、明らかに滑空性能指向。今まで「ガス・フリー」は高いパイロンで主翼縦横比は控えめであった。さらにスパンを延長して、内翼にも軽いテーパーをつけ、楕円翼に近づけた設計が、現在のF1C機であり、ハーゲル機の設計は歴史的な区切り目である。 2位になったコスター(デンマーク)のフラップ翼機も画期的設計。 VISを使うことによって、上昇時の主翼迎え角をゼロ揚力角(おおむねマイナス4度くらい)にして、主翼の揚力を減殺して無駄のない上昇パターンを実現できるが、抗力は増える。可動フラップを上げた翼型ならば、揚力を減殺すると同時に抗力も最低に出来る。 但し、固定部の主翼コードが狭くなるために、構造上は非常に縦横比の大きな翼になり、強度面の問題を克服する必要がある。
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