潜水調査研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 05:56 UTC 版)
ボウイ海山の浅い水深は、ブリティッシュ・コロンビア海岸の沖合において、スクーバ・ダイビング器材を用いて容易にたどり着ける海山として唯一の場所を作り出している。1969年3月、新たな装備パッケージ開発のための研究の一環として、カナダ統合軍海上部隊により、CSS パリゾーからこの海底火山への潜水が行われた。二回の潜水により、山頂部分のモノクロ写真が撮影され、危険な生物が生息していないか調査するために植物、動物、バクテリア等が収集されたことにより、ボウイ海山の基礎的な環境資料が確立された。収集された資料は、ナナイモにある太平洋生物学ステーションにおいて同定され、海洋底に生息する11種の無脊椎動物のリストが作成された。 1969年8月には、カナダ漁業調査委員会による科学的調査のため、カナダ統合軍海上部隊のダイバーが再び潜水を行っている。この調査により、山頂の平坦部で非常に多彩なメバル属等のいわゆる根付き魚や様々な種類の海底生物を認めている。大量のモノクロ写真が撮影され、記録のためにわずかに海藻が採集された。しかし、ボウイ海山の周囲では他の種類の海洋生物に関する記録は残されていない。 1996年11月に発売されたナショナル・ジオグラフィック誌へ、「海山の世界」という題名で、二人の潜水冒険家、ビル・カートシンガー及びエリック・ヒンターによるボウイ海山の解説記事が掲載された。二人はスクーバ―を用いて水深50メートルの海山山頂部へ潜り、さらり斜面を水深150メートルまで到達している。二人が撮影した写真には、ボウイ海山の荒涼とした山頂に、分厚く海藻に覆われ色取り取りの深海の生物が棲み着く様子がとらえられていた。海山の斜面では様々な種類のメバルが捉えられていた。 北東太平洋にある Khoyatan 海洋研究所の科学者ビル・オースティンは、ナショナル・ジオグラフィック協会が撮影したビデオ・フィルム全編を調査し、ボウイ海山周辺の海底に生息する植物相や動物相を分類した。ビデオ・フィルムから、オースティンは通常は干満の影響を受ける浅い水域に生息する数種の無脊椎動物に最も注目を示し、通常よりも深い海底に棲み着き、しかも通常よりも大型であることを明らかにした。 写真家/ビデオ作家であるニール・マクダニエルに率いられた5人のダイバー・チームが、2003年8月3日から5日にかけて海山を訪れ、水深40メートルの山頂部で生物学的調査と撮影を行った。その結果、18種の藻類、83種の顕著な無脊椎動物、12種の魚類を記録し、おおよそ180枚の水中スチール写真と約90分のデジタル・ビデオ映像を記録した。特筆すべき記録として、山頂を遊泳する濃密なメバルの群れと、多数の奇妙なボウズギンポがとらえられている。
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