深海の生物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 05:48 UTC 版)
深海の生物に関しては深海の生物を参照。 大陸沖合いの海底や海溝では体積における生物の種類・個体数が少ない。しかしバチスカーフ・トリエステ号の潜水によって、世界で最も深いマリアナ海溝にもヒラメが存在することが確認されている。 こういった大深度の海底に生息する生物群の多くは、独自進化を遂げているが、環境の変化が乏しいことから、生物的にも古い形質を残すものも見られる。また深海では酸素が少ないほか水温も低いこともあり、これら生物は新陳代謝も非常に緩やかで、エネルギー消費が抑えられた「省エネ生物」だとみられている。 これらの生物は、有光層で蓄えられた生物資源的なエネルギーが、それら生物の死骸の形で沈降してきたものを利用していると考えられている。クジラは地球上でも最大規模の動物だが、深海海底では朽ちかけたクジラの骨周辺にエビなどの生物がコロニーを作る様も確認されている(鯨骨生物群集)。 これら深海生物の多くは、高い水圧に順応して低い水圧では致命的なダメージを負うものもいるが、逆に一部の生物は夜間食料となる生物資源を求め、海面近くまで浮上してくるものも見られる(日中は水深200m付近にいるサクラエビなどもその一つ)。こういった夜間海面近くまで浮上してくる生物もまた、深海に生物的なエネルギー資源を運搬していると考えられている。 いわゆるマリンスノーなど海底に沈降するデトリタスは、生命誕生以降の歴史の中で海底に降り注いでいるが、これを嫌気分解してメタンなどにする古細菌類も存在する。こうしたメタンがメタンハイドレートなど常温一気圧下では自然発生しにくい特殊な状態で海底に蓄積されているところもある。
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