溶液の沸点とは? わかりやすく解説

溶液の沸点

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 03:27 UTC 版)

沸点」の記事における「溶液の沸点」の解説

液体不揮発性の物質溶けているとき、この溶液飽和蒸気圧は、一般に元の純粋な液体飽和蒸気圧よりも低くなる。この現象蒸気圧降下という。これに伴って圧力縦軸としたときの溶液蒸気圧曲線は、元の蒸気圧曲線から下にずれる。そのため、外圧が同じであれば、この溶液の沸点は一般に元の純粋な液体沸点よりも高くなる。この現象沸点上昇という。例え食塩水ショ糖水溶液沸点は、食塩ショ糖不揮発性なので、純粋な水の沸点よりも高くなる。それに対して液体揮発性物質気体溶けているときの溶液の沸点は、元の液体沸点より低くなるともあれ高くなることもある。例えば、アンモニアを溶かしたアンモニア水沸点よりも低く塩化水素を溶かした希塩酸沸点より高い。 純物質沸騰と同じ理由により、一定の外圧の下で沸騰しているときの溶液温度は、溶液の沸点とほぼ等しい。ただし純物質のときとは違って、大抵の場合沸騰し続けるうちに溶液温度少しずつ上昇していく。これは、沸騰により液体組成変化していくからである。溶媒溶質が同じでも濃度違えば溶液の沸点は違うので、沸騰により溶液濃度変化する沸点変化しその結果として溶液温度変化する例えば、NaCl質量パーセント濃度14 wt% のNaCl水溶液を 1 気圧外圧の下で加熱していくと、103 沸騰が始まる。この温度14 wt% 食塩水の 1 気圧における沸点である。沸騰により溶液から水蒸気として逃げていくのに対して食塩不揮発性だから溶液中にとどまる。そのため、水の量が気化して減るにつれて塩分濃度高くなる沸点は濃い食塩水ほど高くなるから、したがって沸騰し続けると食塩水温度103 から少しずつ上昇する食塩水の量が初めの量の半分くらいになる飽和食塩水になり、溶けきれなくなった食塩固体として析出してくる。このときの温度109 で、これが飽和食塩水の 1 気圧における沸点である。固体析出し始めた後は、気化する水の量と同じ割合食塩溶液から析出する。そのため塩分濃度それ以上変わらず、よって沸点変わらないので、沸騰中の溶液温度一定保たれるうになる溶液濃度変化したときに、溶液の沸点がどのように変化するかを表した図を沸点図という。沸点図は相図一種であり、通常沸点を表す曲線とともに露点混合気体凝縮しはじめるときの温度)を表す曲線描かれている。例として、アンモニア混合物沸点図を示す。この図で横軸アンモニア質量パーセント濃度であり、グラフ左端 (0 wt%) は純水右端 (100 wt%) は純粋なアンモニアである。赤い実線沸点表し、黒い破線露点を表す。あるいは赤い実線沸騰のはじまる温度表し、黒い破線沸騰の終わる温度を表すと考えてもよい。このグラフから、例え25 wt% のアンモニア水の 1 気圧における沸点37 ℃ であり、アンモニアガスと水蒸気質量比が 25 : 75混合気体露点91 であることが読み取れる食塩水場合とは異なりアンモニア水沸騰始まってから終わるまで液温が一定になることなく常に上がり続ける。25 wt% のアンモニア水を 1 気圧外圧の下で加熱する37 ℃沸騰始まり液体少なくなるにつれて液温が上昇し最後一滴気化する直前の液温は、理論上91 になる。また、沸点91 になる濃度沸点図から読み取ると 2 ないし 3 wt% であり、この最後一滴質量パーセント濃度2-3 wt% であることも分かる塩酸沸点図は、アンモニア水沸点図と比べると、少し複雑である。沸点を表す曲線低濃度側で大きく持ち上がり20 wt% で露点を表す曲線接している。また、露点を表す曲線も少し持ち上がっていて、沸点露点一致する濃度において、沸点露点極大値となっている。溶液の沸点と露点一致するということは沸騰始まってから終わるまで溶液組成と温度どちらも一定保たれるということ意味する一般に沸騰する際の混合物組成液相気相同じになる現象共沸という。共沸する溶液共沸混合物という。塩化水素混合物である塩酸では、1 気圧の下では塩化水素濃度が 20.22 wt% のとき共沸混合物となり、108.6 沸騰する。この温度は 1 気圧-塩化水素系の沸点極大値であり、純水沸点よりも高い。他の共沸化合物の例としてはエタノール混合物がよく知られている。1 気圧-エタノール系では、エタノール質量パーセント濃度が 96.0 wt% のとき沸点極小となって共沸する。このときの沸点は、純エタノール沸点よりもわずかに低く、78.15 である。

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