溶媒抽出法
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溶媒抽出法(ようばいちゅうしゅつほう、Solvent Extraction Method)または液液抽出(Liquid–liquid extraction)は、水と油のように互いに混じり合わない二液間における溶質の分配(どちらに溶けやすいか)を利用した分離・濃縮方法である。抽出方法のひとつ。分離工学の一つである。
概要
古典的な手法であり、有機化学にも無機化学にも応用可能で、小スケールの実験室から大規模な工業にも幅広く利用される。
実際の利用例では、食用油、食用香料、DNA、レアメタル、ウラン等の濃縮・精製・抽出と、人間の生活には無くてはならない技術である。
溶媒

一般に対となる一方の層は水であり、水と混ざらない溶媒を選択する[2]。
理想的な溶媒は、目的とするものをよく溶かし、反応を起こさず、除去しやすく、安価で、燃焼性、毒性がないものである[2]。
ジエチルエーテル(エーテル)は、炭化水素や含酸素化合物をよく溶かし、揮発性も高いため低温のまま除去しやすく広く使われているが、極めて燃えやすく、酸化された過酸化エーテルは爆発の危険性さえある[2]。
この点、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE、あるいはtert-ブチルエーテル)は、可燃性物質なので注意深く扱う必要はあるが、過酸化エーテルのような脅威はない[2]。
水やエタノールのように水酸基があれば極性の化合物を溶かし、ヘキサンのような炭化水素の溶媒は炭化水素や非極性の化合物を溶かす[3]。
手法

分配係数を用い、キレート試薬などを利用して、水相から有機相へ移行させ、分離抽出を行う[4]。
実際の手法には、主に化学室などで使われる分液漏斗を使ったバッチ式単段抽出、工業的な向流多段抽出プロセス、ミキサセトラ、遠心抽出機等のほか様々な方法で利用されている。
試料中の微量金属イオンに錯体を形成させて有機層中に抽出することにより、抽出液を直接分析機器で測定できる利点がある。
出典
- ^ L.F.フィーザー、K.L.ウィリアムソン 2000, p. 107.
- ^ a b c d L.F.フィーザー、K.L.ウィリアムソン 2000, pp. 102–103.
- ^ L.F.フィーザー、K.L.ウィリアムソン 2000, p. 34.
- ^ 今泉洋、山田明文、沢田清、永長幸雄、本浄高治、上田一正、田口茂、長谷川淳『基礎分析化学』化学同人、1998年、124-138頁。ISBN 4-7598-0820-5。
参考文献
- L.F.フィーザー、K.L.ウィリアムソン『フィーザー/ウィリアムソン有機化学実験』(第8版)丸善、2000年。ISBN 4-621-04734-5。 Organic experiments, 8th ed, 1998.
外部リンク
液液抽出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/11 02:08 UTC 版)
「溶媒抽出法」も参照 主に用いられる溶媒系は水と非極性有機溶媒であり、反応混合物中から塩を取り除くことができる。通常、有機溶媒は水よりも密度が小さく、二層に別れたとき上層に来るのが有機層であり、下層に来るのが水層である。ただし、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒は水よりも比重が大きいので下層となる。 有機溶媒に可溶な化合物の回収を目的とする場合の主な手順は次のようになる。 混合物を適量の有機溶媒に溶かし、分液漏斗に移す。 適当な量の水を分液漏斗に加える。 十分に混合し、平衡状態になるようにする。 下のコックから下層(水層)を別の容器(フラスコ等)にあけ、上層(有機層)を上から別の容器にあける。 水層を分液漏斗にもう一度入れ、適量の有機溶媒を加えた後、3. および4. を数回繰り返す。 有機層を集め分液漏斗に入れ、飽和食塩水を適量加え、十分に混合する(残存する水分を低減するため)。 下層(飽和食塩水相)と上層(有機層)を分けて、有機層を硫酸ナトリウム等で乾燥し、溶媒を留去する。 分配係数のため一般に同じ量の原料から、同量例えば100mlの溶媒で1回抽出する(ある計算では4g得られるとする)より、回数を増やし50mlで2回抽出する(3gと1.5gの計4.5gとする)、33.3mlで3回抽出(計4.7gとする)する方が抽出される量は増加するが、当然手間は増えることになり兼ね合いである。
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