液柱型水銀気圧計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 06:21 UTC 版)
フォルタン水銀気圧計とも呼ばれる。一端を封じたガラス管の内部に水銀を満たして水銀槽に倒立させ、ガラス管の上部にトリチェリの真空を生じさせた構造である。水銀槽の液面にかかる大気圧とガラス管の内部の水銀柱の重さ(∝高さ)との釣り合いから気圧が測定できる。気象観測における基準器として用いられることが多い。 水銀槽の下部は、皮製の袋をネジで押し上げて液面の高さを調整できる構造になっており、水銀槽内の液面が象牙の針の先端に接するようにしたうえで、ガラス管に添えられた目盛りを読み取る。より厳密な測定には温度及び重力加速度を用いた補正が必要である。このため気温測定用のものと同等の附着温度計と呼ばれる温度計が付属する。 またガラス管上端にレーザーを用いた測距装置を備えることで、測定値の電気的な出力を行えるものもある。 その原理上非常に精度の高い測定が可能である一方、高価であること、全長が長く重量が重いこと、衝撃・傾斜に弱く運搬に適さないこと、測定に熟練を要すること等の欠点があり、日常的な観測、特に無人運用による自動観測には適さない。気象庁でも地方官署における基準器としては使用しないこととしたため、国有財産としての使用期限を過ぎたものから順次払い下げを行っている。 気象観測用として、測定範囲は、少なくとも870-1050hPaが必要とされ、許容される器差は、0.7hPaである。
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