法定納本図書館として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 08:10 UTC 版)
イングランドにおける納本制度の歴史は、1610年にトーマス・ボドリー(英語版)が書籍出版業組合と協定を結んで、同組合が登録した全ての書籍を1部ずつボドリー図書館に納めさせたところまで遡ることができる。1662年出版許可法 (Press Licensing Act of 1662) により王室図書館 (Royal Library) に対する最初の法定納本制度が敷かれた後、幾度かの制度の改定を経て、1911年著作権法(英語版)の成立により、大英図書館およびイギリスとアイルランドにある他の5館の納本図書館が、イギリスで出版または頒布された全ての出版物を1部ずつ受け取る資格があることを保証する、現行の法定納本制度の基礎が確立された。大英図書館以外の5館の納本図書館とは、オックスフォードのボドリー図書館、ケンブリッジの大学図書館(英語版)、ダブリンのトリニティ・カレッジ図書館、スコットランド国立図書館(英語版)、ウェールズ国立図書館(英語版)である。これらの図書館の中で、上記の5館については、納本を受ける資格は与えられているが、実際に納本を受けることができるのは、出版日から12ヶ月以内に納本エージェンシー (Agency for the Legal Deposit Libraries) を介して出版者に納本の請求をした場合に限られるのに対して、大英図書館は、イギリスで出版される全ての出版物を出版日から起算して1ヶ月以内に自動的に1部ずつ受け取ることになっていて、出版者に納本を義務付ける唯一の法定納本図書館である。また、1869年以降、大英図書館はイギリスで印刷された全ての新聞も1部ずつ受け取っている。 さらに、アイルランドの著作権法(英語版)(直近では2000年著作権及び関連の諸権利に関する法律)の条項の下、アイルランド国立図書館、ダブリンのトリニティ・カレッジ図書館、リムリック大学の図書館、ダブリンシティ大学の図書館、アイルランド国立大学を構成する4大学の図書館と並んで、大英図書館は、アイルランドで出版された全ての図書を1部ずつ自動的に受け取る資格を有する。ボドリー図書館、ケンブリッジ大学図書館、スコットランド国立図書館、ウェールズ国立図書館も、アイルランドで出版された資料の納本を受け取る権利があるが、イギリスでの法定納本の権利と同様に、出版者に正式に請求した場合に限られる。 2002年12月にイギリスのクリス・モール(英語版)下院議員が議員立法法案を提出し、後に2003年法定納本図書館法(英語版)となった。この法律は、それまでのイギリスの著作権法による法定納本制度の対象に含まれていなかった、マイクロ形態資料やCD-ROM、電子ジャーナル、精選されたウェブサイトをはじめとする電子出版物などの非印刷出版物にまで納入対象を拡大するものであり、イギリスの新しい法定納入制度として、2004年2月1日に施行された。
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