民話収集活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 14:17 UTC 版)
「ヨウン・アウルトナソン」の記事における「民話収集活動」の解説
ドイツのグリム兄弟の『グリム童話集』に触発され、高等学校に在籍中の1845年頃から、友人マグヌース・グリームソン牧師と共同で民話収集をおこない、『アイスランドの民話』 (Íslenzk ævintýri, 1852年)として発表した。この小冊子は反響が乏しく、続篇を発表する目途が立たずに、ひところ収集熱も醒めていた。しかしゲルマン学者コンラート・マウラー(英語版)が1858年が、自著の取材のためアイスランドを訪問した際に二人を激励し、収集が再開された。マグヌースの死去後(1860年)、単独で収集を完成。成果の一部は、2巻本『アイスランドの伝説と民話』 (Íslenzkar Þjóðsögur og Æfintýri, 1862/1864年)としてドイツの ライプツィヒ でに刊行された 。しかし残りすべての資料も補完した完全版(全6巻)の出版は、1世紀近く後の1954~61年を待たねばならなかった。 日本では、菅原邦城による62話の抄訳『アイスランドの昔話』(1979年)、谷口幸男によるドイツ語からの重訳『世界の民話‹32›アイスランド』が訳出されている。 また、ドイツ訳にヨーゼフ・ポエスチオン(ドイツ語版)編『アイスランドお伽噺集』(Islandische Märchen, 1884年)がある。谷口の重訳もこれを原本とする[要検証 – ノート]。古くは巖谷小波編「王取王子」がこのドイツ訳経由である。のちにマルガレッテ・レーマン=フィルヘス (Margarethe Lehmann-Filhés)が、ポエスチオンとは重複しない220話を撰したドイツ訳のアイスランド民話集(1889年)を発表した。 他にもジョージ・E・J・パウエル(1842-82年)とエイリクル・マグヌソン(英語版)の共訳(英訳)があり、全2巻でそれぞれ66話、80話を所収する。 ヨウンとマグヌスの2人には、みずから遊歴して民話を採集するいとまもゆとりもなかったので、教え子たちやその他の人脈をたどって民話を書記したものを送ってもらっていた。またいずれかが文章に「手を加えた」ともされているが、些細な変更であった。アイスランドは、当時のヨーロッパにしては学歴や社会層の格差が小さく、均一にサガ風の文体を敬愛していた国柄なので、文章の作風にもさほどの相違はなかったのである。 他にもマルティン・ルター伝記(1852年)、カール大帝伝記(1853年)、恩師 スヴェインビョルン・エギルソン(英語版)の作品集・伝記(1855-56年)、『アイスランドのなぞなぞ、笑い話、ヴィーキヴァーキ、シュールル』(Íslenzkar gátur, skemmtanir, vikivakar og þulur 全4巻。1887-1903年)等を執筆している。
※この「民話収集活動」の解説は、「ヨウン・アウルトナソン」の解説の一部です。
「民話収集活動」を含む「ヨウン・アウルトナソン」の記事については、「ヨウン・アウルトナソン」の概要を参照ください。
- 民話収集活動のページへのリンク