欧米の香料メーカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 02:35 UTC 版)
世界の香料会社の起源は18世紀の南フランスの都市・グラースに端を発する。1757年に世界初の香料メーカーであるソジオ社、1768年にアントワン・シリス社が創業し、1830年代には45社が競い合ったが、世界的な業界再編に飲まれその多くが名前を消し、グラースには1817年設立のシャラボ(Charabot)社、1850年設立のロベルテ(Robartet)社、1871年設立のヴェ・マンフィス(V.Mane fils)社の大手3社の他に、小規模な調合香料メーカー10社ほどが残る程度である。 スイスでは1895年にジボダンとChuit & Naef Company(現在のフィルメニッヒ(英語版))が設立され、この2社が2014年の米ドル売上高ベースで世界シェア1位・2位を占めている。Chuit & Naef Companyで合成ムスクなどの研究を行ったレオポルト・ルジチカは、1939年にノーベル化学賞を受賞した。フランスの香料メーカーの多くが天然物からの抽出を得意とするのに対し、スイスの香料業界は合成香料の製造を得意とする。 ドイツでは1874年にハーマン&ライマー社が創業。世界で初めてバニリンやヨノンの工業生産を行い、1995年にフレグランスメーカーのフロラシンス社を傘下に収めた。1919年には総合香料メーカーのドラゴコ社が創業した。2002年、北欧の投資ファンドEQTはハーマン&ライマーとドラゴコの株式の大半を取得し、翌2003年には2社の事業を統合した新会社シムライズが設立された。 オランダで1905年に創業した総合香料メーカー、ナールデン社は1987年にユニリーバの傘下に入り、クエストインターナショナル(英語版)と社名を改めた。1996年にイギリスのICIに買収され、さらに2007年にはジボダンに買収された。イギリスで、フレーバーメーカーのブッシュ社、化学合成メーカーのボーク・ロバーツ社、天然香料メーカーのスタッフォード・アレン社が1966年に合併して設立されたブッシュ・ボーク・アレン社は2000年にアメリカのIFFに買収された。 アメリカでは、1958年にヴァン・アメリンゲン社がオランダの合成香料メーカーのポーラック&シュヴァルツ社を買収してインターナショナル・フレバー・アンド・フレグランス(IFF)社が設立された。IFFは2014年の売上高世界3位で、フレーバー・フレグランス・合成香料がそれぞれ1/3と均整のとれた事業比率となっている。 世界の香料メーカー上位10社創業本社2014年度売上高(百万USD、推計値含む)市場占有率ジボダン1895年 スイス・ヴェルニエ 4818.5 19.4% フィルメニッヒ(英語版)1895年 スイス・ジュネーヴ 3375.2 13.6% IFF1958年 米国・ニューヨーク市 3088.5 12.4% シムライズ1915年 ドイツ・ホルツミンデン 2818.0 11.3% 高砂香料工業1920年 日本・東京都 1247.1 5.0% ワイルドフレーバーズ(英語版)1994年 米国・アーランガー 1241.3 5.0% マネ (香料メーカー)(英語版)1871年 フランス・グラース 1022.1 4.1% フルータロム(英語版)1933年 イスラエル・ハイファ 819.5 3.3% センシエントテクノロジーズ(英語版)1882年 米国・ミルウォーキー 724.7 2.9% ロバーテット(フランス語版)1850年 フランス・グラース 518.4 2.1%
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