櫓の名称
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 14:29 UTC 版)
貯蔵物に由来する名の櫓 兵糧塩櫓(しおやぐら) - 塩を備蓄した(姫路城・津山城など) 干飯櫓(ほしいいやぐら) - 糒(ほしいい)を備蓄した(会津若松城・岡山城など) 荒和布櫓(あらめやぐら) - 海草を乾燥させたものを備蓄した(名古屋城、福山城、津山城など) 道具旗櫓(はたやぐら) - 旗指物を収容した(徳島城・古河城など) 鉄砲櫓(てっぽうやぐら) - 鉄砲を収容した(新発田城・福岡城など) 煙硝櫓(えんしょうやぐら) - 鉄砲の弾薬や火薬を収容した。玉櫓ともいわれる 弓櫓(ゆみやぐら) - 弓矢を収容した(名古屋城、岡山城など) 大筒櫓(おおづつやぐら) - 大砲を収容した。石火矢櫓ともいわれる 具足櫓(ぐそくやぐら) - 具足を収容した(高取城) 納戸櫓(なんどやぐら) - 日常の生活用品を収納した。大納戸櫓や小納戸櫓という名前で呼ばれる(岡山城) 数詞・イロハ 多数ある櫓群を数やイロハで数的に呼称した櫓。一番櫓から七番櫓の櫓群(大坂城)、イロハ付きの櫓群(姫路城)。 方位 櫓の建つ位置・方位に由来する名称が付けられた櫓。東南隅櫓・西南隅櫓・西北隅櫓(名古屋城)、丑寅櫓・辰巳櫓・未申櫓(弘前城)、巽櫓・坤櫓(明石城)など。 地名・移築 国名や地名に由来する名称、移築元に由来する名称が付けられた櫓。備中櫓(津山城)、日比谷櫓(江戸城)など。 伏見櫓(ふしみやぐら)は、指月山または小幡山伏見城から移築したという伝承に由来する。福山城(備後国)、江戸城、大坂城、尼崎城などの櫓に移築伝承があり、そのうち福山城の伏見櫓に移築の痕跡が確認されている。名古屋城御深井丸西北隅櫓は清洲城の天守または小天守を移築したものとの伝承から別名清洲櫓(きよすやぐら)と呼ばれている。また、福山城(備後国)の神辺一番櫓、神辺二番櫓、神辺三番櫓、神辺四番櫓の神辺とは神辺城からの移築によるものと伝えられる。 熊本城宇土櫓(うとやぐら)の名称由来については宇土城天守移築説があるが、移築の痕跡は確認されていない。宇土櫓の項に詳しいが、宇土櫓のある平左衛門丸には、加藤清正が関ヶ原の戦いの際に攻め落とした宇土城を本拠とする小西行長の、家臣らを収容していた施設が併設されていたことにちなむ。 備中櫓(津山城) 伏見櫓(福山城) 宇土櫓(熊本城) 西北隅櫓(名古屋城) その他 逸話・伝承などに由来する名称などが付けられた櫓もある。 大坂城の千貫櫓は、石山本願寺の時、横矢をきかせる櫓があり、石山合戦の際に織田信長はこの櫓の攻略に千貫の褒賞金を掛けたと言われることから通称されるようになったと伝えられる。 ほかに、千姫が姫路城の当時城主であった本多忠政に嫁ぐときに持参した「化粧料」で上げられた化粧櫓ほか、津山城には白土櫓・色附櫓、鹿野城にはオランダ櫓・朝鮮櫓などの名付け例がある。 鹿櫓・烏櫓(高松城)、狸櫓(平戸城)など、動物に由来する名称が付けられた櫓もあった。 千貫櫓(大坂城) 化粧櫓(姫路城)
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