樽
『宝島』(スティーブンソン)第2部第10~11章 少年の「わたし(ジム・ホーキンス)」は、25人の乗組員たちとともに、ヒスパニオーラ号で宝島へ向かう。船が島に着く前日の夕方、「わたし」はりんごを食べようと、甲板に置かれた大きなりんご樽の中へ入った。そこへ片足のジョン・シルバーと仲間たちが来て、反乱を起こす相談を始める。「わたし」はいそいで彼らの陰謀を、船長たちに知らせる。
『ペンタメローネ』(バジーレ)第3日第10話 継母にいじめられるチチェッラが、貴族から求婚される。継母は貴族をあざむいて、自分の醜い娘グラッニズィアをおしつけ、チチェッラを樽に閉じこめる。猫が鳴いて、貴族に「あんたの花嫁は樽の中」と教える。貴族はチチェッラを救い出し、代わりに醜いグラッニズィアを樽に入れる。継母はチチェッラを殺そうと、樽に多量の熱湯をそそぎ、グラッニズィアを茹でてしまう。
『ペンタメローネ』(バジーレ)第1日第3話 ボロ服を着た醜怪なペルオントが、呪文の力で王女に双生児を産ませる。父王が怒り、ペルオント・王女・双生児の4人を大樽に入れて海に流す。ペルオントの呪文で樽は船になり、陸地に着くと宮殿に変わり、ペルオント自身は美男子に変身する。彼らは父王の娘婿・孫として認められる。
『樽』(クロフツ) 会社専務ボワラックの結婚生活は破綻していた。彼は別の女性と結婚すべく、邪魔な妻アネットを殺しその死体を樽に詰めて、妻のかつての恋人だった画家フェリックスに送りつけた→〔アリバイ〕1a。
『セメント樽の中の手紙』(葉山嘉樹) Nセメント会社で働く26歳の青年が、石と一緒に破砕器の中へ落ちる。青年は骨も肉も魂も粉々になり、焼かれて幾樽かのセメントになった。青年の恋人であった女工が、手紙を書いてセメント樽の中に入れ、樽を開ける人物に訴える。「もしあなたが労働者だったら、このセメントを、いつ、どんな場所に使ったか、お知らせ下さい」。
『がちょう番のおんな』(グリム)KHM89 侍女が、姫を鵞鳥の番人にし、自分が姫になり代わって、王子と結婚する。父王が、にせ花嫁であることを察知して、侍女に、彼女の悪事を例え話の形で聞かせる。侍女はそれが自分のこととは気づかず、「そんな悪い女は丸裸にして、釘を打ち込んだ樽に入れ、引き回すべきだ」と言う。侍女は自分が言ったとおりの罰をうける。
『白い花嫁と黒い花嫁』(グリム)KHM135 色黒の母親と娘が、王妃となった色白の継娘を殺そうとする(*→〔にせ花嫁〕1)。後に色黒の母親は、自らの悪事をたとえ話の形で、王から聞かされる。色黒の母親はそれが自分のことを言っているとは気づかず、「そんな悪い女は丸裸にして、釘を打ち込んだ樽に入れ、引き回すべきだ」と言う。色黒の母親と娘は、その通りの罰をうける。
『ペンタメローネ』(バジーレ)第5日第8話 継母が、ニッニッロ・ネッネッラ兄妹を嫌って追い出す。大公が兄妹を救い、「この子たちをいじめた人間にはどんな運命がふさわしいか」と継母に問う。継母は「樽に入れて山の上から転がすのがよい」と答え、そのとおりの罰を受ける。
*蛇・百足の入った樽に入れる→〔針〕3aのお菊と小幡の殿様の伝説。
★6.樽を住居とする。
『ギリシア哲学者列伝』(ラエルティオス)第6巻第2章「ディオゲネス」 ディオゲネスは食事・睡眠・対話などのために、どんな場所でも利用した。彼は、神殿の柱廊や祭器の保管庫を指さして「アテナイ人は私のために、住みかを用意していてくれる」と言った。「小屋を1つ欲しい」と、ある人に頼んだが、その人が手間取っていたので、ディオゲネスは公文書保管所にあった酒樽(あるいは大甕)を、住居として用いた。
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