業績と特許紛争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 02:42 UTC 版)
「エドウィン・アームストロング」の記事における「業績と特許紛争」の解説
アームストロングの開発した再生回路は正帰還を使った増幅回路であり、真空管が高価だった時代には非常に重要な発明だった。三極管(オーディオン管)を発明したリー・ド・フォレストも帰還が増大すると発振することを発見していたが、ド・フォレスト自身は自分の発明した三極管の動作原理をよく理解していなかった。三極管の応用という面ではアームストロングが大きく貢献しており、再生回路によってスピーカーを鳴らせるほど無線信号を増幅できるようになった。また、ド・フォレストには不可能だった三極管についての詳細な論文も発表している。 アームストロングが発見し開発したスーパーヘテロダイン技術は当時の最先端の通信技術となった。それ以前、無線信号の混信が非常に多かったが、スーパーヘテロダインによって選局能力が大幅に向上した。 アームストロングの発明の中でも周波数変調が最もよく知られている。周波数変調 (FM) はRCAのデイヴィッド・サーノフの依頼で無線受信における雑音を除去する方法として開発された。サーノフはアームストロングのFMシステムに感銘を受けたものの、それがRCAの得意としていた従来のAMラジオと互換性がないことも理解していた。サーノフはFMを脅威と考え、それ以上サポートすることをやめた。 アームストロングの発明の多くは他者から訴えられ、特許紛争に巻き込まれた。例えば、再生回路は1914年に "wireless receiving system" と題して特許を取得しているが、同じものをリー・ド・フォレストが1916年に特許取得した。ド・フォレストはその権利をAT&Tに売っている。1922年から1934年まで、アームストロングの特許を採用したRCAおよびウェスティングハウスとド・フォレストの特許を採用したAT&Tの間で法廷闘争があり、アームストロングもそれに巻き込まれた。12年間というのは当時最長の特許紛争である。最初はアームストロング側が勝利したが、2審では負け、3審では行き詰った。合衆国最高裁判所はド・フォレストの特許を有効としたが、今では技術的誤解に基づく判断だとされている。 1923年初めごろ、アームストロングはRCAへの特許権のライセンス供与によって富豪になっていた。 1946年、FCCはテレビのNTSC規格の音声信号部分にアームストロングのFMシステムを採用した。このためテレビ製造業者から特許料が入ってくるはずだったが、RCAは特許料の支払いを拒否し、他社もそれにならった。
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