根治術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 02:11 UTC 版)
両心室の機能が良好な場合は二心室修復を目指して術式を選択する。 大動脈弁下VSD・両半月弁下型VSD 肺動脈狭窄を合併していない場合 左室から心室中隔欠損を経て大動脈へ血流を誘導するように右室内にトンネル様パッチを用いて大動脈へ血流を誘導するようにVSDを閉鎖する。肺動脈狭窄(もしくは肺動脈閉鎖)を合併している場合 上記の左室-大動脈間のトンネル作成に加えて右室流出路再建をファロー四徴症に準じて行い、もしも肺動脈が低形成の場合は短絡手術を行う。右室流出路を冠動脈が走行する場合は導管を設置する。 肺動脈弁下型VSD 左室-大動脈間のルートにいくつか手術法があり、状況に応じて使い分ける。基本的に大血管が左右の場合は心内導管、前後の場合は動脈スイッチ手術になる。川島法(川島手術)。 肺動脈弁下VSDから大動脈弁まで心室中隔を後壁にして心内導管を用いる手法。両大血管が左右に並び、三尖弁と肺動脈弁の距離が十分にある場合が適応。両大血管転換(動脈スイッチ)術を併用する方法(ジャテーン[Jatene]手術を併用) 心室中隔欠損を経て肺動脈に血流を誘導するように右室内にトンネルを作る。無論そのままでは肺から来た動脈血が肺に戻ってしまうので、心臓から出た先で肺動脈と大動脈をつけ変えておく。 肺動脈弁下型VSDはその名の通り肺動脈の近くに欠損孔があるので、川島法と違い近い方の肺動脈にルートを作ればよいので大動脈がどこにあっても理論上は問題とならない。肺動脈と大動脈を吻合させる方法(ダムス・ケー・スタンセル法) 位置関係の都合で川島法が使えず、さらに大動脈弁下狭窄もしくは大動脈低形成を合併して両大血管転換術も使用できない場合に使用。ジャテーン手術を併用時のように肺動脈に左心室からの導管をつけて大動脈に接続後、元の大動脈弁を閉鎖して右室から末梢肺静脈に心外導管を設置する。 遠位型VSD 心室中隔欠損から大動脈弁までの距離が長いので長い心内導管を作成するが、これが不可能な場合(三尖弁の乳頭筋が大動脈弁下にある場合など)や複数の心室中隔欠損が存在し肺動脈狭窄を合併するときは短絡手術が対象。心内修復手術が困難な場合は単心室として扱うことも考慮する。 これら以外に大動脈が前方にあるTGA型で肺動脈狭窄を伴う場合はラステリ手術、または二階堂法(Nikaidoh procedure)などが適応となる。
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根治術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/14 07:57 UTC 版)
手術による胆道造影ないし肉眼所見で胆道閉鎖症と確定診断された場合、引き続いて根治術が行われる。根治術では閉塞した肝外胆管を可及的に切除し、肝管腸吻合術ないし肝門部腸吻合術(英語版)が行われる。肝管腸吻合術は先天性胆道拡張症に準じた術式で、空腸を挙上脚として肝門部まで持ち上げ、直接肝管に縫い付けるものである。実施できるのは基本型分類 I型・II型など、吻合できるだけの肝管開存部がある症例に限られる。基本型分類で最多のIII型(肝門部閉塞)では同様の手術が行えず、肝門部の結合織を切除して、切離面を空腸挙上脚で覆うような肝門部腸吻合術が行われる。この手術は1959年に初報告した葛西森夫に因んで「葛西式」(または葛西手術、英: Kasai's procedure)とも呼ばれる。 挙上脚の肛門側では、単純Roux-en-Y吻合(英語版)ないし人工腸弁(逆流防止弁、spur valve)付加のRoux-en-Y吻合による再建が主流となっている。人工腸弁は予後に寄与する術後胆管炎の予防を目的にしたものであるが、手術成績の違いはあまり見られず、近年では単純Roux-en-Y吻合が大半となりつつある。日本では、1980年代末から1990年代初頭にかけて完全外瘻術式が主流だったが、現在では姿を消している。 手術は生後60日以内に実施することが望ましく、これを超えると肝臓の線維化が進むために、手術後の胆汁排泄効果が弱まってしまうとされている。自己肝生存率や減黄率は、生後30日以内の手術で有意に高く、現在では発見後可及的早期の手術が推奨されている。
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