合併症・予後とは? わかりやすく解説

合併症・予後

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/14 07:11 UTC 版)

フォンタン手術」の記事における「合併症・予後」の解説

フォンタン手術後は肺循環には駆出心室存在しない生理的血行動態になるので、長期的に種々の合併症起こり得る一般的な心臓外科手術における合併症以外に、フォンタン手術において特に留意すべき合併症として、不整脈血栓心室機能障害蛋白漏出胃腸症(英語版)、肝機能障害などが報告されている。 周術期の合併症としては胸水貯留がある。このため胸腔ドレナージが必要となり入院長期にわたることも少なくない。このリスク対処する方法として、静脈灌流心房流れるようなフェネストレーション(Fenestration)と呼ばれる穴を開けておく術式もある。静脈圧が高くなった時は、静脈血一部がフェネストレーションを通じて心房流れ、圧を逃がす役割を果たすうになる。しかしこの方法は結果として低酸素症来すため、フェネストレーションは最終的にカテーテル治療により閉鎖する必要がある遠隔期の合併症には心房粗動心房細動などの不整脈があり、カテーテルアブレーションによる治療要することがある。これらは特に心外導管かわりに心内トンネルBaffle)を作成する術式場合に、心房損傷することによって起こり得る。また凝固系に異常をきたし、抗凝固療法必要になることもある。その他、蛋白漏出胃腸症、慢性腎不全等も遠隔合併症として挙げられるが、これらのリスクについては未だ不明な点も多い。 また、静脈側副血行路(高圧の体静脈から起始して機能的左房もしくは肺静脈交通する側副血行路)が発生し、右̶左短絡生じてさまざまな程度チアノーゼ起きることがあり、原因はっきりしないものの遺残静脈位置にあることから静脈の上昇で機能的に閉鎖していた静脈開いた考え研究者が多い。 フォンタン手術解剖学的根治術ではなく、あくまで機能的修復術であるが、多く場合は正常もしくは正常に近い程度成長発達運動耐容能、QOL得られる。 20-30%程度症例で、最終的に心移植が必要であるとの見解もある(2004年,Behrman)が、近年フォンタン手術の手成績極めて良好になってきており、例え2008年角秀秋報告によると、術後10年94%の生存率84%の術後合併症発生率である。

※この「合併症・予後」の解説は、「フォンタン手術」の解説の一部です。
「合併症・予後」を含む「フォンタン手術」の記事については、「フォンタン手術」の概要を参照ください。

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