長期予後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/14 07:57 UTC 版)
根治術による黄疸消失率は概ね6割ほどである。充分な減黄が得られない場合、黄疸が再発した場合、胆汁性肝硬変の進行により自己肝での生存が難しくなった場合には、肝移植が行われることが多い。ドナーはそのほとんどを生体肝移植ドナーが占めている。黄疸の再発例では、再度葛西手術を行うことも提言されている。肝移植の有無に関わらず、1度起こった肝機能障害は改善までに時間が掛かる。 自己肝生存に対する予後因子として、増生胆管の形成、胆汁鬱滞・胆汁性肝硬変(線維化)の進行度などが挙げられる。胆道閉鎖症術後の患児では、日齢と共に増生胆管の増加が見られる。術後合併症としては、上行性胆管炎、肝硬変に引き続く門脈圧亢進症(これに伴う胃静脈瘤・食道静脈瘤、脾機能亢進症)、静脈瘤に伴う消化管出血、肝硬変に伴う肝肺症候群などが挙げられる。中でも上行性胆管炎や減黄の奏功率は肝予後に大きく寄与するため、術後は長期の抗菌薬・ステロイド・利胆剤(ウルソデオキシコール酸)投与が行われる。仁尾らは、抗菌薬を経静脈投与し、術後7日目からプレドニゾロンを開始する術後管理を提唱している。また、経口摂取開始と共にウルソデオキシコール酸を始めて利胆を図ると共に、胆汁不足で吸収低下する脂肪製剤や脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)を補充するよう求めている。 「胆道閉鎖症全国登録2018年集計結果」によれば、全生存率は5年で89.5 %、10年で88.3 %、25年で85.3%であった。一方自己肝での生存率は、1年で73.6 %、5年で57.2 %、10年で50.4 %、25年で39.7%であった。
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