服飾の慣習
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 09:57 UTC 版)
日本における葬儀の慣習として、葬儀は死者との別れを悲しむべき席とみなす考えから、一般に華美な服装は歓迎されず、黒色で光沢のない生地で仕立てた礼服・喪服を着用する。日本では葬儀に関わる一連の式(通夜、葬儀、告別式、納骨など)に参列する場合、黒を基本とした服装(正喪服・準喪服・略式)が一般的である。親族は黒や薄墨色の喪服(和装の場合もあるが、近年は男女ともに黒地の洋装が多い)で身を包む。制服を着用する官吏(警察官・消防官・軍人など)、制服の定められている学校に所属する学生・生徒は、それらの制服着用でも構わないとされている。女性の洋装の場合、スカート丈は膝の露出は避け、ストッキングは黒の無地を着用。ヘッドドレスとして黒いベールをあしらったトーク帽を着装する場合、黒の手袋とセットで用いる。なお、近年はパンツスーツも容認されているが、スカートの場合と同じく、膝の露出のないロング丈、靴下の類は黒で統一する。 通夜に関しては、亡くなって間もなく執り行われる場合が多いため、礼装ではない衣服(例:ダークスーツやビジネススーツ、派手過ぎない色味で清潔感のある外出着など)が好ましい。一部地域では通夜も礼装である喪服の着用を促す見解もあるようだが、一般的には通夜の段階で畏まった礼装で赴くことは、故人が存命の頃から葬儀を予期して喪服を用意していたと思われる誤解が生じる可能性があり、失礼にあたるという考えから勧奨されないとする意見もある。 日本で避けるべきとされているもの 毛皮素材・ファー、皮革素材 殺生を意味するため。革ベルトや革靴は許容範囲とされる。なお、布貼りの礼装用ハンドバッグやパンプスが市販されている。 結婚指輪を除くアクセサリー類。 モーニングジュエリーとして名高いジェット、ブラックオニキス、仏教の七宝のひとつに数えられる宝具でもある真珠は一般的に可とされている。真珠は白色の物が多いが、冠婚葬祭のいずれにも対応できる装飾品とされているため葬儀の場でも身につけることが容認されている。ただし、ネックレスは一連のものを用い(二連などの重ね付けは避ける)、イヤリングをつける場合は揺れないタイプのものを選ぶ。ブローチやブレスレットの類は控える。また祝い事に多用される金色の貴金属は忌避されることがある。男女ともに派手なデザインの腕時計は式の間は一時的に外す方が好ましい。 濃い化粧やネイルアート、強い香りの香水類など。
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