昭和2年-昭和20年
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昭和2年4月1日に制定された兵役法は、兵役の区分を常備兵役・後備兵役・補充兵役・国民兵役とし、常備兵役は現役と予備役に分かれ、補充兵役と国民兵役はそれぞれ第一・第二に別れた。兵役法に規定された各兵役の年限と定義は次の通りである。 常備兵役 現役と予備役を合わせた称で、旧制の常備軍にあたる。現役 徴兵検査に合格し且つ指名を受け入営した兵、即ち甲種合格した者と徴兵検査で身体"健"と判断(乙種第一)され特に志願或いは抽籤に当った者及び実役定限年齢に未だ到達していない将校・下士官をさす。一般に現に軍務に就いている軍人をさし、現役を離れ予備役・後備役或いは退役した軍人を在郷軍人や退役軍人と称した。兵の現役年限は陸軍二年、海軍三年で、下士官以上は或る一定の年齢までが現役期間としてその年齢に到達した時に予備役編入となる。その一定年齢とは、憲兵を除く下士官・准士官は40歳まで、憲兵下士官は45歳、憲兵准士官48歳。士官は兵科によらず少中尉45歳・大尉48歳・少佐50歳・中佐53歳・大佐55歳・少将58歳・中将62歳・大将65歳。階級ではないが、元帥府に列せられた陸海軍大将は終身現役の栄誉にあずかった。帰休兵 現役兵の定員が余剰になった時、兵の一部を現役のまま在営期間を短縮して帰郷させた制度。法的には単に帰休兵だが、現役の身分である事を強調して俗に現役帰休兵ともいう。 予備役 現役を終了した軍人が服し、年限は陸軍5年4月・海軍4年。後に昭和16年11月に改正され、後備役が廃され予備役と合一し、陸軍15年4月・海軍12年と変わる。予備役にある軍人は、毎年一回の簡閲点呼や勤務演習を受け、在郷軍人会の入会を義務付けられた。現役人員に欠員が出た時は現役の余剰人員である帰休兵の次に召集される。下士官の予備役期間は7年で終了すると第一国民兵役となる。士官は5年間予備役に服し、以後は退役となる。予備役に在る者の席次は現役の次とし、階級はそれぞれの階級呼称に「予備」を冠し「予備陸軍大佐」の様に称する。 後備兵役 常備兵役を終えた者が服す役で、予備役の次にあたる。旧制の後備軍で、後備兵役は一般には単に後備役と称する。昭和16年11月の改正によって後備兵役は予備役と合一し廃される。 補充兵役 第一補充兵役と第二補充兵役を合わせた呼称。該当者は何れも徴兵検査に於いて現役に適するとされた者。合格基準の乙種第二にあたる。第一補充兵役 陸軍では徴兵検査に合格したものの指名を受けず、入営しなかった者が服す兵役。兵役法制定時の服役年限は陸軍12年4月で、昭和14年に改定され17年4月。海軍は常備兵役を終った者が対象となり、期間は1年。第一補充兵とも。 第二補充兵役 陸軍では徴兵検査の時点で現役・第一補充兵役に充当されなかった者が対象で、服役年限17年4月。海軍では第一補充兵役が終了すると之に服し、当初は11年であったが昭和14年改定により年限は16年4月。第二補充兵とも。 国民兵役 第一国民兵役と第二国民兵役を合わせた分類。第一国民兵役 常備兵役と補充兵役を終了した者が服する。 第二国民兵役 年齢17歳以上45歳迄の者で常備兵役・補充兵役・第一国民兵役に服さなかった者が対象となる。徴兵検査基準の「丙種」と判定された者がこれにあたり、その基準は「身体上極めて欠陥の多い者」をいう。徴兵検査では甲種・乙種が合格で、丙種は一応合格、丁種・戊種が不合格だったが、戦局が悪化し末期になるとこの一応合格の身体上極めて欠陥の多い者までも戦地に送られた。 明治初期には民兵的な存在として、屯田兵及び屯田予備兵を置く。他国の陸軍に比べて各年代における徴兵経験者の割合が低く、有事には相当の高年齢者まで召集せざるを得なかった。
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