昆虫への関心
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 08:10 UTC 版)
幼少時から始めた昆虫採集は東京大空襲でコレクションのほとんどを失ってからほとんど行わなくなったが、コガネムシ類にだけは高齢になっても執着心を持ち続けてきたことを証言している。また、幼少期からの自然史趣味は、旧制松本高等学校の同級生で後に著名な植物学者となった西田誠(『青春記』では「雄ライオン・雌ライオン」の項で登場している)を、その該博な植物学の知識で驚嘆させた。昆虫採集に関しては『どくとるマンボウ昆虫記』が詳しい。その後の著作でも『南太平洋ひるね旅』『母の影』などでしばしば昆虫採集に言及している。 2008年「どくとるマンボウ昆虫展」が開催された。これは虫好きの北杜夫ファンが、全国の虫屋に呼びかけ『どくとるマンボウ昆虫記』に登場する全昆虫の実物標本を集め開催したものである。内約50種は、実際に北氏が採集した個体が使用された。さらに、『航海記』の記述にある「帽子で捕まえたチョウ」の正体や、『青春記』で「茂吉の傍らで観察した狩猟蜂」が何であったのかを、その時の正にそのものの実物標本を使用し展覧した。この展覧会は宮城県仙台市、山形県上山市、栃木県日光市、山梨県北杜市、長野県松本市、広島県福山市、群馬県高崎市、北海道北見市、中川町、枝幸町、釧路市等全国45都市で開催され、2009年8月、軽井沢高原文庫において天覧となった。 2011年9月、長野県安曇野市の昆虫収集家、平沢伴明がコガネムシの仲間「ビロウドコガネ」の新種を発見し、北杜夫と昆虫採集を通じて交流があることから、これの学名をラテン語で「ユーマラデラ・キタモリオイ Eumaladera kitamorioi」、和名は「マンボウビロウドコガネ」と命名した。北杜夫は献名されたことに対し「とても照れくさいけれど光栄。大好きなコガネムシなのでうれしい」と喜んだ。 2011年9月17日 - 19日に信州大学松本キャンパスで行われた第71回日本昆虫学会において「どくとるマンボウ昆虫展」が開催された際、“「虫や」のみなさまへ”と題するメッセージを寄せ、その返礼として大会実行委員会長から感謝状を贈られた。10月1日、公での最後の席となった軽井沢高原文庫でのトークショーにて、新種コガネムシの献名式と感謝状の授与式が行われた。
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