日本海軍における高角砲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 01:11 UTC 版)
戦闘艦艇への対空兵器の配備は航空機が実用化された大正時代からとなる。当初は、偵察や弾着観測を行う少数の航空機の排除を想定していたため、高角砲を装備したのは艦体に余裕のある巡洋艦以上に限られていた。その数も単装砲を数基装備するのみであり、あくまで補助的な兵装という扱いであった。 第二次世界大戦が始まると、戦闘艦艇の任務は戦前の想定に反して航空攻撃に対抗する対空戦闘が主となり、高角砲は近接戦闘用の機銃と併せて対空戦闘の主兵装として用いられた。大日本帝国海軍においても相対的に対空兵装が重視されるようになり、各艦は相次いで対空兵装の強化が行われた。この中には大和型戦艦の2隻、重巡洋艦の「摩耶」、軽巡洋艦の「五十鈴」や「夕張」のように対艦兵装の一部を撤去して高角砲または機銃に変えられた例も少なくない。また、新造艦においては駆逐艦以下の小型艦艇でも、秋月型駆逐艦や丁型駆逐艦、船団護衛用の海防艦など、高角砲を主兵装として搭載する艦が計画され、次々に戦線へ投入された。これら艦載の高角砲の一部は拠点において揚陸され、拠点防衛用の陸砲として用いられるものもあった。 複数の軍艦が同時に砲撃する際、どの艦の砲弾か識別できるように色の付いた煙が出る着色弾が6色用意されていた 日本の敗戦により大日本帝国海軍が消滅すると、高角砲という呼称も消滅した。戦後、結成された海上自衛隊の護衛艦では、砲熕兵器として自律型の対空機関砲(CIWS)、主砲として5インチクラスの単装砲などが採用されているが、対空戦闘では攻撃に艦対空ミサイル、近接防御にCIWSが使用され、主砲は主に水上目標用である。ただし、こんごう型護衛艦のCDC内のコンソールの配置で米軍の担当者に「ほぼ完璧だが、砲戦コンソールは対水上戦」と指摘されたのに対し「イージスに機能は無くとも、FCS-2を積んで、日本のイージスでは対空戦にも5インチ砲を使う」と回答した日本の担当者は「だったら、配置は正しい。・・・でも、クレイジーだ。」と言われている。単艦コスト削減のために、あたご型護衛艦以降の日本のイージス艦では、イージスシステムが射撃指揮機能を持つMk 45 5インチ砲とされて対空射撃能力を持っていないが、FCS-3は同砲の対空射撃指揮機能を有しており、海上自衛隊において砲の対空戦能力は必ずしも軽視されておらず、米海軍よりも重要視されている。
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