日本の獅子舞
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日本の獅子舞は、全土で行われておりバリエーションは多岐にわたる。日本で最も数が多い民俗芸能といわれている。2000年代の調査では全国に約8000確認されているが、地方の過疎化や東日本大震災などで減少していると考えられる。 獅子頭などは「獅子博物館」(埼玉県白岡市)や「ひみ獅子舞ミュージアム」(富山県氷見市)、「東京獅子博物館」(東京都檜原村)といった専門施設のほか、各地の博物館などで所蔵されている。 獅子舞で踊る獅子は、1人で1匹の獅子を演じる「一人立の獅子舞」、2人以上の演者で1匹の獅子を演じる「二人立の獅子舞」と、数人から10人ほどで1匹の獅子を演じる「むかで獅子」に分類される。「二人立」は古代に成立した外来の舞楽・伎楽(ぎがく)系統や散楽から派生し曲芸や軽業と融合し御師と結びついた、伊勢大神楽に代表される大神楽系統が存在する。「一人立」は土着の芸能をもとに中世末から近世初期にかけて成立した風流(ふりゅう)系統といった芸能史的に異なる系統に分かれる。 富山県は全国でも獅子舞伝承数が屈指であり、2005年(平成17年)では、約1,170ケ所で受け継がれ現在も行われており、日本一多いとされる。富山県教育委員会は、数多くの獅子舞から2005年(平成17年)に100選(実数 111ケ所)を発表している。 獅子の頭部(獅子頭=ししがしら)は木製が多いが、和紙による張子のものや最近では発泡スチロールによるものもある。獅子頭職人の早川高師によると、江戸時代中期までの獅子頭は武家の災い除けの置物で、幕末以降、庶民の祭に獅子舞が広まったという。幅一尺程度の標準的な獅子頭を丸彫りでつくると重い(約10kg)ため、薄い部材を組み合わせる寄せ木づくりが編み出された。1.5kg程度に軽量化でき、修理もしやすい。井波彫刻で知られる富山県南砺市井波では、上記のように富山県内で獅子舞が盛んに行われていることもあり、獅子頭の生産が古くから盛んで全国有数の産地である。 胴幕には獣毛の表現を保ったものと、様式化して獣毛を失ったものの二系統があり、前者は「毛獅子」などと通称される。 舞方は諸流派があり風流系(ふりゅうけい)、神楽系(かぐらけい)などが知られるが、他にも多くの舞があり同じ物は二つとないとも言える。
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