日本のミュージカル映画
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「ミュージカル映画」の記事における「日本のミュージカル映画」の解説
日本の最初のトーキーである『マダムと女房』も、ハリウッドのそれと同様にミュージカルの要素が強い作品である。 日本のミュージカル映画の特徴として挙げられるのが、七五調を違和感なく使える時代劇との相性の良さであり、戦前の危機的な世相の中作られた名作『鴛鴦歌合戦』をはじめ、エノケンこと榎本健一や美空ひばりといったスターの主演する時代劇ミュージカルが戦中から昭和30年代にかけてヒットを飛ばしている。『狸御殿』シリーズも戦中戦後にかけて映画会社をまたがって幾作も作られ、2005年にも最新作『オペレッタ狸御殿』が作られる、息の長いシリーズとなった。 一方時代劇以外の分野では『素晴らしき男性』『アスファルト・ガール』などハリウッドに範をとった野心的ミュージカル大作も作られてはいたものの、それらは観客の失笑を買う結果となった。フランキー堺主演の『君も出世ができる』は批評的には数少ない成功例として挙げられるが、それすら興行的には失敗する有様であった。現代劇におけるミュージカルは、もっぱらその当時の流行歌を主題とした歌謡映画として、あるいは加山雄三やクレイジー・キャッツらが主演するコメディ映画のワンシークエンスとして、といった形で観客に受け入れられていた。 現在、ブロードウェイの翻訳作品が強い舞台の世界と同様、日本の映画界においてもオリジナルのミュージカル作品が作られることは稀(「嫌われ松子の一生」など)で、時折製作されても幼年層を対象にしていることが多く、一般層に受け入れられにくいことは否めない。 最近では「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 2012」の短編部門において、角川裕明監督のミュージカル作品『ユメのおと』が最優秀作品賞を受賞。日本に和製ミュージカル映画を根付かせるという目的で「Japanese Musical Cinema」という団体を立ち上げている。翌年の2013年には、埼玉県×松竹共同製作のオムニバス映画『埼玉家族』の中の一作品として、鶴見辰吾主演/角川裕明監督によるミュージカル作品『父親輪舞曲(ちちおやロンド)』が劇場公開された。 2014年公開の周防正行監督『舞妓はレディ』(タイトルは「マイ・フェア・レディ」のパロディ)は、オーディションで抜擢された主役の上白石萌音が、スターへの階段を上るきっかけを作った。 2021年に公開の『すくってごらん』では、ミュージカルをベースとしながらもダンスシーンを排除し、歌唱力の高い俳優陣を起用。日本人が観ても気恥ずかしさを感じないことを意図した作品となった(ジャンルとしては“新感覚ポップエンターテインメント”を謳っていた)。
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