文章の分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 17:15 UTC 版)
ヨーゼフ・シュミット=ゲルクによってベートーヴェンがヨゼフィーネ・ブルンスヴィックに宛てた13通の恋文が公開され、「不滅の恋人」宛ての手紙が彼の書いた唯一の恋文ではないことが明らかとなった。その後、1804年から1809年にかけての書簡、そして1812年のこの謎めいた手紙における言葉づかいや言い回しの類似性より、ヨゼフィーネが知られざる女性だったのではないかという説が提唱されるようになった。以下に他の書簡との表現の比較を含む例を提示する(括弧内は原文の表現で、原文付きの記述が「不滅の恋人」書簡の内容、その他は別の手紙から)。 「我が天使」(Mein Engel)この単語は手紙の最後の部分にも使われている。 「さようなら、天使 - わが心の - 我が人生の。」(#219, 1805年4月)この手紙にはドイツ語で親密な相手に用いる2人称の「Du」が使われている。; 「ごきげんよう、わが心の天使」(#220, 1805年4月/5月) 「私の全て」(mein alles)、「君 - 君 - 我が人生 - 私の全て」(dir - dir - mein Leben - mein alles) 「君 - 君 - 私の全て、私の幸福(中略)私の慰め - 私の全て」(#214, 1805年1月-4月); 「J.全て様 - 貴女のための全て」(#297, 1807年9月20日以降) 「エステルハージ」(Esterhazi)ハンガリー出身のブルンスヴィック家はこのハンガリー貴族をよく知っていた。 「私だけの忠実な宝物でいてください」(bleibe mein Treuer einziger schaz)、「貴女の忠実なルートヴィヒ」(dein treuer ludwig)、「私の貴女への忠実さをご存知でしょうから、他の誰も私の心を手にすることはできないのです」(da du meine Treue gegen dich kennst, nie eine andre kann mein Herz besizen, nie - nie)、「貴女の最愛なるL.の最も忠実なる心を決して誤解なさらないでください」(verken[ne] nie das treuste Herz deines Geliebten L.)、「永遠に貴女の、永遠に私の、永遠に我々の」(ewig dein ewig mein ewig unß) 「長く - 長く - 我らの愛が続きますよう - それは非常に気高く - 根差す足元の多くの部分には互いの尊敬と友情 - 多くのこと、考えや感情の上での大きな共通点さえもがある - ああ、願わせて下さい、あなたの魂が - いつまでも私を探し続けるよう - 私の魂だけが - 立ち止まり - あなたを探せるよう - もし - それがもう鼓動していなかったとしても - 愛しきJ」(#216, March/April 1805); 「貴女の忠実なBethwn」(#279, May 1807)、「貴女の忠実なるBthwn、永久に貴女のために」(#294, 20 September 1807)こうした文言はそれまでに長期にわたる関係があったことを明確に示している。 「愛しき人、貴女は苦しみの中にある(中略)苦しみの中に - ああ、わたしがどこにいようとも、貴女は私とともにいるのです」(Du leidest du mein theuerstes Wesen...du leidest – Ach, wo ich bin, bist du mit mir) ヨゼフィーネは病気がちだっただけではなく、この頃は夫が彼女のもとを去っていったために特に落ち込んだ状態だった。 「しかし - しかし決して私の前からいなくならないでください」(doch – doch nie verberge dich vor mir) 1807年、ヨゼフィーネは家族からの圧力によりベートーヴェンの前から姿を消そうとしていた。ベートーヴェンが会いに来た際、彼女がいたのは自宅ではなかった(#294と#307を参照)。 「私はもう床に就かねばなりません(取り消し線が引かれて:さあ一緒に、一緒に -)」(muß ich schlafen gehen – [durchgestrichen: o geh mit, geh mit –]) 強い調子で取り消されている文言は、おそらく彼らの愛が行き付くところまで到達していたことを強く示唆しているのだろう。そしてこれがちょうど9か月後のヨゼフィーネの第7子、ミノーナの誕生を説明する可能性もある。
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