文化経済と環境経済と資本経済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/11 15:10 UTC 版)
「資本経済」の記事における「文化経済と環境経済と資本経済」の解説
新古典派経済学者シャルウィン・ローゼンは、文化経済学のパイオニアとされるが、労働経済の過剰性からの芸術作品の生産・創造、流通、消費、投資を考察したが、文化経済はさらに美術館・図書館、歴史的建造物、舞台芸術、映画産業、エンターテイメントへと文化産業自体を対象としていく。それは生産物の不確実性の世界だが、「スター現象」を生み出し、一部の芸術家がその分野の収益のほとんどを稼ぐことが指摘された。無形の代償が経済的対象になった。美術作品は一個でしかない、商品的量産とは異なる経済世界が問題にされ、また消費者は、鑑賞や読書や音楽を聴く、という消費行動をとるが、それは消費財生産物の購入にとどまらないファクターが作用している。消費者の満足を求める選好行動が市場を作用している。それは必要needsだけではない、欲求wants・要求demand・期待expectation、そして欲望desireが働き、諸個人の認知・認識構造、心的構造も作用している。ブルデューは、美術愛好に収入=経済資本の階層差が職業の社会的位置と関係していることを分析する。地域再生における美術館や博物館の役割が考証される。また、地球環境問題をふまえて環境経済学が、自然生態系や景観などの経済効果を考証するが、測定不可能な環境条件が問題にされていく(39)。さらにツーリズムも観光産業として課題になる。都市や地域などの場所が経済圏域としての対象にされていく。全てが経済対象になっていく、こうした高度産業社会は、商品・サービス経済の拡張によって消費財世界で起きていく現象であるが、物質的な物だけではない、「触知しえない経済」の興隆であった。商品自体の差異化・差別化、サービスの拡大、教育、医療、健康の経済化、そしてそこにソフトウェアの情報技術経済が発生していく。「触知しうる経済tangible economy」を「触知しえない経済intangible economy」が超えていく量的変化は、1990年代後半から2010年の間で、様々な分野で起きた。資本経済は、このインタンジブルな経済を文化経済(文化資本・芸術資本)や環境経済(環境資本・場所資本)や情報経済(情報資本)に読みとっていくものだ。
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