文化船「ひまわり」(1962-1981)
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「広島県立図書館」の記事における「文化船「ひまわり」(1962-1981)」の解説
多くの離島を抱える広島県では、島に本を届けるために文化船「ひまわり」を運航していた。ひまわりは第六管区海上保安本部船舶技術部の設計・指導により江田島造船所で建設された木造船で、長さ14 m、幅3.7 m、トン数19.8 tであった。 ひまわりの就航までは、島の各拠点に巡回文庫を設け、担当者が本土の港(尾道港、仁方港、警固屋港、竹原港)までケースに入った文庫セットを取りに行くというシステムを取っていたが、文庫セットは1つ40冊にすぎず、貸し出しは50 - 60冊ほどであった。 ひまわりは1962年(昭和37年)4月10日に運航を開始し、宇品港を拠点に、県内の島を4コースに分けて、各コースを12時間前後かけて巡回した。船内には書架スペースのみならず、閲覧室兼会議室にポータブルテレビまで備えており、港には船の入港を待つ島民の行列ができた。基本的には移動図書館として運用したが、広島県教育委員会の活動や県政の広報活動にも利用できる規定があり、実際に映写機や映画フィルムを運搬・貸出することにも使われた。 当初もてはやされたひまわりは、しまなみ海道の開通により移動図書館車「みのり」が島まで乗り入れ可能になったこと、木造ゆえ老朽化が早く維持費もみのりより高く付いたこと、積載量がみのりより少なく運航が天候に左右されやすいことなど負の要素が積み重なり、1981年(昭和56年)7月31日に宇品から厳島(宮島)、阿多田島を回って宇品に戻り、運用を終了した。約20年の運航距離は91,607 km、利用者数は445,320人、貸出冊数は693,138冊であった。 退役後のひまわりは瀬戸田町(現・尾道市)のB&G海洋センターで展示・保存されることになった。2015年(平成27年)には解体が決まったものの、地元有志が反対運動を行って解体を免れた。2017年(平成29年)11月には「文化船ひまわりB.Bプロジェクト」が発足し、船の補修や広報活動、船内での読み聞かせイベントなどを通して船の維持と歴史の継承を続けている。
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