文化の発祥と伝播・変容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 23:39 UTC 版)
ある特定地域の文化も、人々がそれを用いることが有益と判断すれば他の地域でも用いられるようになり、また伝播先の文化と融合して新たな文化を創造することもある。このような作用によって様々な文化が交じり合い、より高度な文化が創られてきたともいえるが、一方で自文化の変容に対しては反発もあり、各種の紛争の要因ともなっている。 例えば仏教は、インドで発祥し、宗派の分裂や各地の文化の影響もありつつ、主に上座部仏教は南方の東南アジア諸国に、大乗仏教は北方の中央アジア諸国や東アジア諸国などへと伝播していく。その後大乗仏教が6世紀に日本にも伝えられるが(仏教公伝)、当初は崇仏論争が起きその受容につき激しく争われた。受容後は中国などからの影響も受けつつも、日本独自の宗派も発達し、また本地垂迹説の登場によって日本古来の宗教である神道との融合が起き、神仏習合と呼ばれる状態が生まれた。 交通・通信手段の改善や経済交流の増大によって各文化圏の交流が密接になるに伴い、文化の伝播・交流はますます密度を増しつつある。特に1990年代以降、グローバリゼーションの爆発的な進展に伴い、各国では他国文化の流入が起きて多様性が増大し、さらに在来の文化と異文化との融合によって新たな文化が生まれた。その一方で、流入する異文化とはだいたいにおいて有力な文化、特にアメリカを中心とした文化であり、アメリカナイゼーションをはじめとする文化の画一化による文化差異の減少も顕著となっている。食文化においては、世界各地で気候風土や現地文化に即した独自性の高い文化が世界各地で育まれていたが、1990年代以降流通や情報技術の発達によって食品系企業の世界展開が起きて急速に標準化が進みつつあり、全体として差異は縮小する傾向にある。ファストフード・チェーンなどの多国籍企業による効率的・画一的な消費文化が全世界に広がることで起こる文化の均質化も指摘されているが、そうして広まった均質な文化の中でまた差異が追求されることも珍しくない。こうしたグローバリゼーションと地域限定化の混合による文化の流れは、グローカリゼーションと呼ばれる。
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