政権人事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/22 13:52 UTC 版)
「ムハンマド・ムルシー」の記事における「政権人事」の解説
6月30日に最高憲法裁判所で宣誓を行い、大統領に就任した。前述の通り穏健派とはいえイスラム主義政党からの当選であった事から、世俗派からの懸念が持たれていた。7月24日、ヒシャーム・カンディール水資源灌漑大臣を首相に任命し、組閣を命じた。8月27日、女性1人、コプト1人、サラフィー主義者1人を含む4人の大統領補佐官と17人の大統領顧問を任命した。9月6日、中央監査局長に、改革派判事のヒシャーム・ゲニーナを任命した。12月22日、諮問評議会(上院)の大統領任命枠90人を発表した。90人のうちの75%が非イスラーム主義系であり、12人のコプトが含まれている など、議会や閣僚人事ではイスラム主義を弱める姿勢を見せた。 しかし一方で各地の知事や中央省庁に対しては自らの出身母体であるムスリム同胞団のメンバーを次々と幹部として送り込み、統制を進めていたため、身内びいきの人事として国民の反発を招いた。一方で政権最末期の2013年6月に新たに7人を任命した結果同胞団系が27人中10人となったに留まり、知事職に関して言えば完全な統制にまでは至っていなかった。一方、官僚組織においては同胞団出身の人材は政治や行政についての技能や経験を持たない者ばかりだったため、政府機能が停滞することとなった。取り分け情報通信技術省では局長級の幹部職に至るまでムスリム同胞団メンバーによって占められた事で決済業務が停滞し、インターネットサービスプロバイダへの許認可業務が完全にストップするなど各所で混乱が見られた。 アブドルメギード・マハムード検事総長の解任や、反ムルシー政権の裁判官を退任させるための定年引下げを試み、司法権からの反発を受け、アル=アズハル大学が持っていた人事権への介入などを画策したことから、宗教的権威からの反発も受けた。そもそも司法は大統領選挙決選投票直前にイスラーム勢力が多数を占めた議会を、選挙法が違憲との理由で解散に追い込むなどしてきた旧政権支持の強い勢力であり、アズハルの総長アハマド・タイイブもムバーラクによって総長に任命された人物である事から、元々ムルシー政権とは距離を取っていた。
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