支配 (言語学)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/15 20:32 UTC 版)
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言語学における支配(しはい)とは、動詞または前置詞が文の中で使われる際に、それに関係する文の成分の文法的性質を選択することをいう。特に屈折語で、このようにして文法的性質としての格が決まること(動詞または前置詞による格支配)を指す。
概要
例えば、ある動詞に対する目的語または補語のとる格が決まるとき、この動詞は特定の格を支配するという。ラテン語では、他動詞(目的語が 1 つの場合)はその目的語が対格となることを要求し、一方与格は二重他動詞の間接目的語に用いられる。日本語では他動詞の「助ける」に当たる ラテン語favere は、目的語を与格にしなければならない。例えば「私はあなたを見る」は対格 te を使って "Te video" というのに対し、「私はあなたを助ける」は与格 tibi を使って "Tibi faveo" という。これを「動詞 faveo は与格を支配する」という。このような例はドイツ語などにもあり、英語のhelpに当たるhelfenは与格支配である。これはラテン語faveoにしろ、ドイツ語helfenにしろ、他動詞ではなく自動詞であるためである。
ラテン語で同じ「助ける」を表す語でもadiutareやiuvareは他動詞であるため、対格支配である。日本語でも同様に、英語では他動詞であるのに、格助詞として「を」でなく「に」をとる動詞「乗る」「従う」「勝る」などがあるが、これらもすべて自動詞である。
前置詞も、英語では目的格しかとらないが、言語によっては様々な格を支配する。1 つの前置詞が複数の格を支配することも多く、この場合には格によって意味が異なる。例えばドイツ語で、前置詞 in を 3 格(与格)とともに用いると「~の中で・に」、4 格(対格)とともに用いると「~の中へ」の意味となり、それぞれを 3 格支配、4 格支配と呼ぶ。
支配という概念は動詞・前置詞以外の品詞にも、また格以外の文法範疇にも適用できる。例えば、ドイツ語やフランス語などでは、完了の助動詞は動詞の種類・形式に応じて haben/avoir と sein/être を使い分けるが、これは「動詞による助動詞支配」ということができる。また、英語の形容詞 fond は前置詞 of に導かれる補語をとる。これも形容詞 fond が前置詞 of を支配すると解釈できる。
関連項目
「支配 (言語学)」の例文・使い方・用例・文例
- 彼に支配人の仕事があるがやってみないかと話を持ちかけてみた
- 副支配人
- 支配人のポストには何人かの候補がいる
- 彼は演劇界を支配した
- 大きな会社を支配する
- だれが国家政策の策定を支配しているんだろうか
- その会社はかつてビールの市場を支配していた
- 人は習慣に支配される
- 支配的な役割を演じる
- 強者は弱者を支配するのか
- 広大な領土を支配する
- 事実上の支配者
- レジからお金を盗んだという理由で支配人はウエーターを首にした
- 総支配人の職にある
- 支配人は明日来客を受けません
- ホテルの支配人は以前泊まった時とまったく同じ部屋に私たちを通した
- 禁酒法はアメリカでのマフィアの支配力をゆるめた
- ホテルの支配人
- 自然を支配するのは難しい
- 暴徒支配
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