携帯機器用プロジェクタ
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米TI社は2008年から携帯機器に使用されるDLPプロジェクタ用の、新たな製品群の量産出荷を開始した。 このDMD方式の「DLP Picoチップセット」と呼ばれる小型の表示用部品は、LED光源と共に使用され、iPod程度の大きさの小型プロジェクタの中核部品となる。既にOptima technology社とSypro Optics社が、2008年末と2009年第1四半期の製品出荷を目指して開発中である。これらの機器は携帯用のメディアプレーヤーと接続することで、従来の数インチ単位の液晶画面の静止画や動画を、大画面に投影する利用法を想定している。登場する最初の世代では電池駆動で10ルーメン、2時間程度の使用が想定され、480x320の画素数、2-4W程度の消費電力で、当初の価格は400米ドル以下、量産時では200米ドル以下とされている。米TI社のDLP Picoの他にもいくつかDMDやMEMSの小型の表示用部品の製造計画が発表されており、2008年末からはこれらの表示用部品を組み込んだ単品の携帯型プロジェクタが、2009年末頃からは携帯型情報機器に組み込まれた形で、携帯プロジェクタ機能の搭載品が市場に登場する可能性がある。 ただ、ノートパソコンへの搭載は既に開発済みの技術で目処が立っているが、携帯電話への組み込みを考えれば、プロジェクタ機能の部品容積で0.7cm3以下、消費電力で1W以下としなければならず、部品価格も50-60米ドル以下が求められるなど、実現までのハードルは高い。携帯電話より比較的大きいデジタルカメラへの搭載は、早期実現の可能性はより高い。 集光部品が省けるレーザ素子の方がLEDより小型化には向くが、価格が高く、緑色のレーザ発光素子が無いために1,064nm程度の赤外発光レーザーをSHG素子によって532nm程度に波長変換するが、これでは効率が悪く、今後、直接発光が可能な緑色のレーザ素子の登場が待たれる。 TI社はこのDLP Picoをさらに発展させた「DLP Pico HD」を発表、CES2011 で、Acer、Dell、LG、ViewSonic、HP、LG、NTTドコモ、Samsungなど30社からこれらを搭載した製品のプロトタイプが展示された。さらに翌年のCES2012 では、Picoチップセットの累積出荷台数が200万を超えたと発表した。
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