控訴審・仙台高裁
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「武富士弘前支店強盗殺人・放火事件」の記事における「控訴審・仙台高裁」の解説
被告人K・弁護人側の控訴を受けて青森地裁は2003年3月25日までに訴訟記録として「起訴状」「捜査段階および公判における被告人Kの供述調書」「公判に出廷した被害者・関係者ら証人の尋問調書」「青森地検の論告・弁護人の弁論を含めて地裁で取り調べた証拠などすべての書面」を仙台高裁に送付する手続きを取った。 事件から2年以上が経過した2003年5月29日までに被告人Kの国選弁護人として仙台弁護士会・佐藤正明弁護士が就任することが決定し、仙台高裁は2003年6月2日までに控訴審初公判期日を「2003年10月14日午後1時30分より仙台高裁405号法廷で開廷する」ことを決定して関係者に通知した。その後初公判までに被告人Kの身柄は(後に死刑執行までの余生を過ごすこととなる)宮城刑務所仙台拘置支所へ移送され、佐藤を含め仙台弁護士会から国選弁護人計3人が選出された。 2003年10月14日午後1時30分から仙台高裁(松浦繁裁判長)で控訴審初公判が開かれた。被告人は第一審と同様に殺意を否認する旨の供述を行い、弁護人側も控訴趣意書で「(未必の故意を認めた)第一審・死刑判決は重大な事実誤認があり破棄されるべきだ」と主張した一方、検察側は被告人K・弁護人側の控訴棄却を求めた。弁護人側は「被告人質問」「元従業員の証人尋問」「被告人の聴力検査」「110番通報録音テープの声紋鑑定」「火災状況鑑定の事実調べ」を請求したが、検察側(仙台高等検察庁)は同意せず、仙台高裁は被告人質問を除く請求の採否を留保した。 2003年11月18日に開かれた控訴審第2回公判で被告人質問が行われ、被告人Kは警察・検察が作成した供述調書の内容を否定したほか、これまでと同様「従業員は避難したと思った」などの供述を繰り返した上で「調書と自身の主張の相違を説明する上申書」を提出した。前回公判で弁護人側が請求した各種請求について松浦裁判長はいずれも不採用と決定した。 2003年11月25日に開かれた控訴審第3回公判でも引き続き被告人質問が行われ、被告人Kは「犯行時、店内で向き合った支店長が逃げ遅れれば死ぬかもしれないと思った」と述べた上で、「時間経過とともに店内に火災が広がる」と認識していたことに言及した。 2003年12月17日に開かれた第4回公判で最終弁論が行われ、控訴審が結審した。弁護人側は「未必的殺意を認めた原判決は重大な事実誤認がある」と主張し、第一審・死刑判決を破棄するよう求めた。一方で検察側は「未必的な殺意の存在は明らかで控訴には理由がない」と主張し、第一審・死刑判決支持(被告人Kの控訴棄却)を求めた。 2004年(平成16年)2月19日、仙台高裁(松浦繁裁判長)は第一審・死刑判決を支持して被告人Kの控訴を棄却する判決を言い渡した。被告人Kは判決を不服として最高裁判所に即日上告した。
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