控訴審の審理
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「三島女子短大生焼殺事件」の記事における「控訴審の審理」の解説
東京高裁第6刑事部(田尾健二郎裁判長)で2004年10月14日に控訴審初公判が開かれ、検察官は控訴趣意書で「本件犯行の諸事情に照らすと、被告人Hに対しては死刑をもって臨むほかないのに、原判決が被告人への死刑適用を回避して無期懲役の量刑を選択したのは著しく軽く不当である」「冷酷・残虐な犯行で被告人Hには反省も見られない。殺人などの前科がなく殺害された被害者が1人であっても、本件で極刑を回避しては司法に対する信頼が揺らぐ」と述べた。一方で弁護人は控訴趣意書で「被告人Hが被害者Aを強姦した場所は函南町内ではなく三島市芙蓉台北付近だ」と事実誤認の旨を主張したほか、量刑面についても「途中で殺害を躊躇するなど計画性はなく、無期懲役は重すぎる」(=有期懲役刑が妥当)と主張した。 続く第2回公判(2004年12月7日)で被告人質問が行われ、被告人Hは検察官からの「殺害時に使った灯油を実家から持ち出した理由」に関する質問に対し「被害者Aを脅すためで、その時点では殺そうと思っていなかった」などと述べた。その上で「被害者Aを殺害した理由」に関する質問には繰り返し「分からない」と述べた一方で、控訴理由については「少しでも刑を軽くしたかった」と述べた。 控訴審は第3回公判(2005年〈平成17年〉1月18日)に結審した。同日は証人尋問が行われ、検察官側の証人として出廷した被害者Aの父親が被告人H本人に対し「娘がされたのと同じことをしてやりたい気持ちだ。発覚を恐れて殺すなど、人間のすることではない」と述べ、第一審と同様に死刑を求めた。結審後、裁判長を務めた田尾は第一審判決が死刑回避の事情として指摘した「周到な計画に基づく犯行ではない点」「被告人Hの前科に殺人などの犯罪は見当たらない点」などを改めて検証し、最終的には「どの情状も『被害者を生きたまま焼殺する』という残虐な犯行態様に比べれば、被告人Hに有利な情状とは認められない」という心証を固め、陪席裁判官2人(鈴木秀行・山内昭善)とともに「死刑しかない」と結論を出した。
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