採集道具
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 08:54 UTC 版)
プロとアマチュア双方の世界に採集者が多くいるため、採集や標本作製のための様々な道具もある程度の市場規模が期待できる。そのため、昆虫採集専門に工夫されたの器具類の開発が進んでおり、研究用機器としては比較的安価に市販もされている。 もっとも標本採集のための昆虫採集は「虫を捕るもの」、「虫を殺すもの」、「殺した虫を収めて持ち帰る容器」の3種類があれば可能である。(厳密には通常は野山を移動するのでこれに加え、それに応じた服装や履物もいる。)「虫を捕るもの」はまず捕虫網(ほちゅうもう)を準備しないといけない。基本は目の細かいもの(絹・ナイロン・寒冷紗など)で、目の粗い亀甲紗はチョウやトンボなどの大型で早く飛ぶ昆虫用である。枠は捻じ曲げて小さくできる鋼鉄のスプリングが多いが、乱暴な採集(雑草や木の葉をめっぽうに救う乱獲採集など)には不適当で、そういう物には太い頑丈な針金で作った折り畳み式(枠の円を2つか4つに折り曲げれる)のほうが良い。口径は大きい方が虫が入りやすいが大きすぎると振り回すのに不便なので40㎝前後が最適である。柄の長さは自分の身長ぐらいが目安でそれ以上だと振り回しにくいので捕獲が非能率になる、ただし用途によってはハチやアブなどは片手で振り回せるぐらいの短いものの方が便利だし、高い木の上のチョウやセミを取るなら長くできる注ぎ竿が必要になる。竿の部分は網の部分を折りたためばポケットに収納できる程度の短いものから、繰り出し式になっていて、のばせば10mなどというものも存在する。なお、これらの道具は釣り用具の磯玉を流用することもある。 これ以外に必須ではない採集道具だが叩き網、吸虫管、ピンセット(耳鼻科用などの先が細くて曲がったもの)があると便利であり、叩き網は十字にした軸にさらし木綿などの丈夫な布を張ったもので茂みを棒(叩き網とは別のただの棒)で叩いて落下してきた虫をこれで受け止めて集めるもので、小甲虫やカメムシ(特に日光の強い熱帯地方のもの)捕獲などに著しい効果がある。捕虫網は、上記の叩き網採集にも使われるが、傘もこの用途に使える。広げてから、取っ手を上にして、枝の下に受けるように傘を持ち込み、枝を上から叩くのである。傘の色は白か黄色が虫が目立つので便利。折りたたみ傘はすぐ壊れるので良くない。 吸虫管は微細な昆虫を指やピンセットで痛めることなく採集するのに便利で、前記の叩き網や乱獲採集で捕まえた虫を急いで採集するため、管瓶の蓋にガラス管を2本通したもので、片方にゴムなどの吸い管をつけてこちらに虫が入らないように網がしてある。もう一方の管を虫に近づけ、吸い管を口にくわえて吸うと、虫が吸い込まれることで捕まえられる。吸い管の入り口には布などをかぶせてあり、虫が吸い込まれないようになっている。糞などの衛生的でない場所での採集やカメムシなどの臭いが強い昆虫を採集する場合はスポイトを用いたものや掃除機のように電動で吸い上げるタイプのものが使われている。ピンセットは孔の中の昆虫をつまみ出す場合、汚いものに集まっている虫を拾う場合、ハチなど危険な虫を網から殺虫管に収める場合などに便利である。
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