採食エンリッチメント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 00:27 UTC 版)
「環境エンリッチメント」の記事における「採食エンリッチメント」の解説
採食エンリッチメントは、餌の種類や与え方を変えるなど、食物に関連するエンリッチメントである。広く行われ、その種類も多い。 多くの時間を採食に費やす野生動物と比べて、餌を飼育員から与えられる飼育動物は、採食行動の時間が短く、行動の種類も少なくなる。そこで、それを補うことを目的とした採食エンリッチメントが行われている。多くの霊長類やヤブイヌでは、単に床材や積んだ丸太に餌を隠すだけでも、エンリッチメントの効果があることが知られている。餌を一か所に集めずに飼育施設に広く撒く「ばらまき給餌」や、採食行動が行われる空間を広げるための餌台の設置なども行われている。 動物の行動を引き出すために、パズルのような装置を用いることもある。餌の藁を金檻に入れて、ゾウが鼻を使って採食する行動を引き出したり、コモンマーモセットが木から樹液を吸う行動を模した給餌器を与えたり、ウマに転がすと餌の出るボールを与えたりといったことも行われる。興味深いことに、多くの動物はたとえ容易に得られる餌があっても、労力を要する方法で好んで採食する。たとえば、インコは餌皿に餌があっても、丸太に隠された餌を探して食べることを優先するのである。この現象はコントラフリーローディングと呼ばれる。 餌を決まった時刻に与えていると、給餌時刻の前に異常な常同行動[要リンク修正]が増加することが多い。これを防ぐため、餌を不定期に与えることも試みられ、効果を挙げている。ヤドクガエルでは、くりぬいたココナッツに入れた生餌を不定期に与えると、活動性が上昇した。
※この「採食エンリッチメント」の解説は、「環境エンリッチメント」の解説の一部です。
「採食エンリッチメント」を含む「環境エンリッチメント」の記事については、「環境エンリッチメント」の概要を参照ください。
- 採食エンリッチメントのページへのリンク