採炭方法による分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 05:40 UTC 版)
切羽での採炭方法は、技術の発達により改良が重ねられた。主な採炭法を以下に示す。 手掘り 主につるはしを用いて人力で採炭する方法。つるはしは磨耗が激しくひんぱんに交換が必要となるため、採炭用には先端部のみを交換するように改良されたものが使用された。 ピック採炭法 圧縮空気で作動するコールピック(採炭用に改良された小型削岩機の一種)で採炭する方法。 発破採炭法 炭壁にドリルなどで穴を開けて爆薬を装てんし、爆破して崩すことにより採炭する方法。 ホーベル採炭法 切羽に沿って動作する炭壁切削刃(ホーベル)によって連続して炭壁を崩して採炭する方法。ドイツで開発され、1950年代後期頃から日本の炭鉱にも導入された。ホーベルの動作ガイドを兼ねてコンベアトラフが敷設され、ホーベルはこのガイド上で切羽に並行に往復動作を行う。ホーベルの切削刃が炭層に密着するようコンベアトラフは背後からシフター(空気圧または水圧ピストン)によって切羽に押し付けられ、切削によって切羽面が前進するとそれに合わせて機材全体も前進する。採炭と搬出を一連のシステムで行う機材として開発され、後にカッター採炭法に発展した。ホーベル自体も、カッター採炭に適さない環境(炭層中に硬い珪化木が多い等)の炭鉱向けに使用が続けられ、自走枠との組み合わせ等の改良も行われた。 カッター採炭法 炭壁を機械的に破砕する重機(コールカッター)によって採炭する方法。コールカッターは元来、切削刃を植えたチェーンソー様式の機械で、発破の前工程として炭壁に切削溝(「透かし」と称する)を刻み込み、炭壁を崩しやすくする採炭補助機材であった。その切削部を、円筒型の回転体にスパイラル状に切削刃を植えたドラムカッター様式とし、カッター自体で連続的に採炭を行うよう改良されたものが開発され、さらに、ホーベル採炭機の炭壁切削部をこのドラムカッターに置き換えてコンベアトラフと組み合わせた採炭・搬出システムに発達した。ホーベルの場合と比較して一度に削り取る幅が大きく、より効率的となっている。その後、採炭現場を保護する鉄柱・鉄梁(「カッペ」)を一体化した自走枠システムとも組み合わせることで機械化採炭システムへと発達し、1980年代頃には日本の主要炭鉱の多くがこの発達型を採用していた。炭鉱によってはSD採炭法とも称された。 水力採炭法 ノズル(「モニター」と呼ばれる)からの高圧放水により炭壁を破砕して採炭し、破砕した石炭をポンプで水とともに流送して坑外に搬出する採炭方法。旧ソ連で開発・実用された。日本にも技術導入され、炭層が急傾斜である等採掘条件が厳しい炭鉱(三井砂川炭鉱など)で採用された。
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