戦後の九九式短小銃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 04:04 UTC 版)
戦後、日本占領地域に遺棄、または降伏に伴う武装解除により接収された日本軍兵器が各国の独立戦争、内戦などで使用されており、多数の日本軍の小火器が使用された。 朝鮮戦争の勃発を受けて、大韓民国国軍の小銃不足を補うため、アメリカ軍が接収した九九式短小銃を改修して装備することになった。これは薬室を削り直して7.62mm×63弾(.30-06スプリングフィールド弾)を使用できるようにするもので、改修は東京兵器補給廠(TOD)で行われていた。また日本で警察予備隊が発足するとこちらにも配備されることになり、名称は九九式口径.30小銃で、配備数は約75,000挺、改造のベースとされた九九式短小銃は日本国内の他米国からも供与(返還)が行われたという。 しかし、元々全く特性の異なる実包を用いていたものを改修したことから、下記のように多くの問題が指摘された。 腔圧や薬室・薬莢起縁部の径に大きな差があり、材質・径・装薬の違いによって銃身破壊や薬莢の縦割れが発生するリスクが高い 九九式短小銃は重量が軽いにも関わらず、銃身が長く初速が大きくなるため、反動が増大して命中率が落ちる 30-06弾は弾底形状の関係から火薬ガスによる圧開を期待できず、また7.7mm口径の銃身で7.62mm径の30-06弾を使用することから、未発射銃でも残存命数が0.02mmしかないことになり、横転弾のリスクが高い 弾倉部を改造したため給弾不良のリスクがある 陸上自衛隊武器学校で行われたテストでは銃身破裂などの事故が頻発したことから、陸上幕僚監部ではただちに射撃禁止の措置をとった。 本来の九九式短小銃は当時の軍用ボルトアクション式小銃でも高性能な部類に入るものだったが、大戦末期の戦地や戦後の日本国内より米軍兵士が持ち帰って評価の対象としたのが末期型であったため、戦後アメリカでは粗悪銃と評価されていた。 また、アメリカやカナダではスポーツライフルとしても流通している。アメリカ国内で製造される7.7x58mm Arisakaが使用されており、貫通力が強く、大型獣の狩猟に使用される。グリズリーなどの大型動物を即死させることができるといわれる。 ルバング島で30年間身を潜めていた小野田寛郎予備陸軍少尉が手にしていた小銃としても知られる。この際、弾薬は島内に遺棄されていた戦闘機から引き上げた7.7x58SR機関銃弾(薬莢が九二式実包と同様の半起縁型で交換の必要あり)を改造して使用していた。
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