惑星の表面温度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/23 15:55 UTC 版)
惑星の表面温度は、放射と温度変化を考慮した有効温度の計算を応用することで推定することができる。恒星から熱量を吸収する惑星の面積Aabsは、全表面積の一部分 A t o t a l = 4 π r 2 {\displaystyle A_{\rm {total}}=4\pi r^{2}} である。rは惑星の半径である。この領域は、恒星惑星間の半径Dの球体の表面に広がっている熱量の一部を遮断する。また、惑星はアルベドと呼ばれるパラメータaを組み込むことにより、入射熱量の一部を反映することができ。1の値のアルベドは全ての照射熱量が反射されることを意味し、0の値のアルベドは、そのすべてが吸収されることを意味する。吸収された熱量についての式は次のようになる。 P a b s = L A a b s ( 1 − a ) 4 π D 2 {\displaystyle P_{\rm {abs}}={\frac {LA_{\rm {abs}}(1-a)}{4\pi D^{2}}}} 惑星全体が同じ温度ではないが、惑星の総面積のある部分Aradが温度Tを持っているかのように再び放射すると仮定することができる。 放射率と大気の温室効果を表している因子をεとすると、εの値は完璧な黒体として1から0の範囲となり、すべての入射熱量を放出する惑星の場合は1となる。ステファン・ボルツマンの法則は、惑星が放射する熱量の式を与える。 P r a d = A r a d ε σ T 4 {\displaystyle P_{\rm {rad}}=A_{\rm {rad}}\varepsilon \sigma T^{4}} これらの2つの式を等式化し、並べ替えると表面温度の式を与える。 T = ( A a b s A r a d L ( 1 − a ) 4 π σ ε D 2 ) 1 4 {\displaystyle T=\left({\frac {A_{\rm {abs}}}{A_{\rm {rad}}}}{\frac {L(1-a)}{4\pi \sigma \varepsilon D^{2}}}\right)^{\tfrac {1}{4}}} 二つの定数の割合を注意のこと。この定数の比率は、一般的な前提条件で、高速回転体で1/4(球の断面積/球の表面積)とゆっくりとした回転体または太陽に照らされた側が固定された天体での1/2である。この比率は、太陽の直下の惑星上の点で惑星に最高温度を与える太陽直下点(en:subsolar point)で1となる。 地球を例にとってみる。地球は約0.367のアルベドを持っている。 放射率は、表面のタイプと多くの種類の気候モデルに依存しているが、地球の放射率の値は1に設定されるが、より現実的な値は0.96である。地球はかなりの高速回転体であり、それゆえ面積比が1/4のように推定することができる。他の変数は一定である。この計算により255Kまたは-18℃の地球の有効温度が得られる。地球の平均温度は288Kまたは15℃である。2つの値の間の差異である33℃の差の大きな理由の一つは、地球表面の平均温度を上昇させる水蒸気や二酸化炭素による温室効果に起因するものである。 また、この式は放射性崩壊から生じる惑星の内部発熱の影響や潮汐力の摩擦から生じる熱の可能性を考慮していないことをここで注意する必要がある。 金星の有効温度は-46℃である。太陽光の77%を反射するのが大きな理由である。実際の金星の温度は460℃であり、95気圧の二酸化炭素が510℃分の温室効果をもたらしている。火星有効温度は-56℃であり、実際の温度の-53℃とほとんど変わらない。 二酸化炭素が0.006気圧であり温室効果が弱いからである。なお、水蒸気も強力な温室効果があるので水蒸気の有無も温室効果として考慮する必要がある。
※この「惑星の表面温度」の解説は、「有効温度」の解説の一部です。
「惑星の表面温度」を含む「有効温度」の記事については、「有効温度」の概要を参照ください。
- 惑星の表面温度のページへのリンク