惑星の発見と命名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/26 13:36 UTC 版)
ケプラー138は、ケプラーの観測以前は、2MASSのカタログ名2MASS J19213157+4317347で識別されていた。ケプラーの当初の観測対象として、"Kepler Input Catalog"(KIC)ではKIC 7603200というカタログ名となり、系外惑星候補の信号が検出された後は、ケプラーの優先的な観測目標であるKOI(Kepler Object of Interest)カタログで、KOI-314という名称を与えられた。 ケプラー計画は、トランジット法によって系外惑星を捜索するものだが、トランジットの信号を検出しただけでは、惑星が恒星の手前を通過したのが原因でない可能性もあるので、この段階では惑星「候補」といわれる。TTVなどで質量が推定され、十分小さいことがわかって漸く真の惑星となる。 ケプラーチームが惑星を発見すると、「ケプラー」に検出順の番号を付けた別名が付けられ、この星系ならケプラー138となるが、この星系で最初に惑星を確定させたのは、ケプラーチームとは別の科学者であった。慣例では、発見者が使用した名称が使われることになっており、この星系で惑星を発見したグループでは、引き続きKOI-314を使用していた。 ケプラーが観測している惑星候補は、KOIカタログ名の後に".01"、".02"といった番号を、発見順に付ける。同時に発見された場合には、周期の短いものから順に番号を振る。この規則に従い、この星系で最初に発見された2つの惑星候補は、周期の短い方がKOI-314.01、周期の長い方がKOI-314.02とされた。その後、3番目の惑星候補がみつかり、KOI-314.03と名付けられたが、周期は先にみつかった2つの候補より短い。 確定した惑星は、恒星名の後に"b"、"c"、といった英小文字を付与するのが慣例で、使用する文字は、発見順にbから始める。最初に、KOI-314.01とKOI-314.02が同時に確定したので、発見者はこれらに公転周期の短い方からKOI-314b、KOI-314cという名前を付けた。この時点では、KOI-314.03は惑星と確定せず、名前はそのままであった。 一方、ケプラーチームはこれと独立に、3つの惑星候補全てを惑星と確定させ、数週間遅れで報告。この時、3つ同時の発見であったので、周期の短い方からKOI-314.03にケプラー138b、314.01にケプラー138c、314.02にケプラー138dと、先に2つが発見されたものと異なる名前が付けられた。KOI-314bと314cは確定報告が先だったので、発見者の同意なしに名称は変更されないのが慣例だが、KOI-314.03を発見したのはケプラーチームだけで、こちらはケプラー138bが優先される。この結果ケプラー138系は、"b"という記号が付与された異なる2つの惑星がある、という特殊な状態になった。
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